いち早くイメージを刷新しようと、2017年から新たな見せ方でゴルフカルチャーを発信してきた雑誌『ザ・ゴルファーズ・ジャーナル』(以下TGJ)。実は今号のブルータスの表紙の写真は、TGJでフォトエディターを務める現地在住の金野孝次郎さんが撮影している。
その編集部がロサンゼルスとサンディエゴの中間、サンクレメンテにあると聞き、編集部を訪れることに。オフィスに到着すると、まず目に入ったのはロングボード。すると、発行人のブレンドンが笑顔で現れた。案内された社内は右を見ればサーフボード、左を見ればゴルフグッズが並び、兄弟誌『ザ・サーファーズ・ジャーナル』(以下TSJ)とともに額装されたバックナンバーが壁一面に飾られていた。
「サンクレメンテに引っ越してきて最初の9年は違うサーフ雑誌で働いていたんだ。そして、TSJの創設者がリタイアを考えていた時、僕に引き継ぐ話を持ちかけてくれた。それで2016年からTSJの発行人になったんだけど、実はゴルフの雑誌を作るというアイデアが2014年頃からあって、当時のボスに話してたんだ。
なぜかって、従来のゴルフメディアは上達のコツやトッププロのバーディやボギーの話ばかりだったから。せっかくのゴルフカルチャーが表現されていないと感じてたんだ。ゴルフこそ世界中で愛されているし、多様性があって面白いのにってね」
ゴルフにもカウンターの動きが巻き起こった
ブレンドンは早くからゴルフにもカウンターカルチャーの動きが巻き起こることを予見していた。なぜならサーフ業界で同じ動きを体験し、その目で見てきたから。そしてまさにゴルフ業界がその時を迎え、TGJが大きな役割を果たしたと語る。
「2017年にTGJを立ち上げた時から、量より質にこだわって作ってきた。伝統的なゴルフ雑誌とは違って、手作りのゴルフ道具やゴルフコースの建設をライフワークにしている人たちを取材し、新たな経験を求めて世界中をゴルフで旅する人たちを称賛してきたんだ。実際、ゴルフを通じて素晴らしい場所に連れていってもらって、たくさんの人に出会うことができているよ」
年に4回出版するTGJは毎号5〜10人のフォトグラファーを起用。サーフやスケート、ファッションに特化したフォトグラファーも参加し、ユニークな視点の写真を積極的に用いる。読者のサポートで成り立っているからこそ、広告は限定し、何より読み手に満足してもらうことに重きを置いているという。
「最高の誌面に、最高の写真と言葉を載せる。同じようにポッドキャストやビデオも取り組む。いつも適切なストーリーを探して、それを実現するために時間を費やしているんだ」
読者はメンバーシップ制で、世界的なオンラインコミュニティも運営。さらに年間30以上ものイべントを開催するなど、出版の枠にとらわれないメディアへと成長している。
「僕にとって、ゴルフもサーフィンも逃避であり瞑想なんだ。世界でも最高の2つのアクティビティを仕事にできたと思っているよ」