噂のTESTSETが、デビューアルバムを発表
———改めて結成の経緯を教えてください。
砂原良徳
METAFIVEとして活動ができなくなり、出演予定だった『FUJI ROCK FESTIVAL '21』は、急遽僕とLEOくん、そしてサポートメンバーとして白根さんと永井くんでステージに上がりました。
LEO今井
ライブ中は、無我夢中でわからなかったけど、その後、同じメンバーでのオファーがあって。
砂原
その中で、今後も活動したいと考え、屋号を変更することにしたんです。そのオーサライズとして、22年には4人で10本ほどライブをやりました。
———METAFIVEの流れを断つという選択肢はなかったんですか。
砂原
LEOくんと一緒にMETAFIVEの制作をやっていて、もっと(一緒に)発展させられることがあると思っていたんです。LEOくんのソロ作やライブは、もっとロック寄りのアプローチだけど、声質などエレクトリックなトラックとも相性がいいと思っていた。逆に、僕がオルタナティブへ寄ったアプローチをするとか。かなりアイデアがあったんですよね。
———完成したアルバムは、以前からの流れを踏襲しながらも新機軸が目立ちます。制作はいつ頃から開始されたんですか。
砂原
22年の年末からゆっくり入り、今年の前半にかけて集中して作業しました。白根さんと永井くんが入ったことで、僕ら2人の感覚もさらに変化した感じがあって。結果的にはよかった。
今井
制作方法は、METAFIVE時代から変わらず。メンバーの一人が作ったベーシックのデータを、オンラインで共有。みんなで回覧しながら、楽器やアレンジを足していくんです。実は『METAATEM』(21年)制作時、誰もあまり反応しなかったデモトラックがあって。
砂原
制作していると、よくあるね。
今井
ところが、今回のメンバーの間では、最初から盛り上がって。それが「Over Yourself」になりましたね。
砂原
僕も元のデモは覚えてなかった。
今井
……聴いてなかったんじゃ?
砂原
そんなことないよ(笑)。アルバムの流れを決めていく中で、ぴったりだったんだよ。METAFIVEの時は、できた曲を集めてアルバム化していたから、ある意味でコンピレーション的な意味合いが強かった。
TESTSETの場合、曲がある程度出揃った段階で「この曲には、こういう要素が足りないよね?」とか「もっと楽器の音色が欲しい」とか、メンバー同士のサジェスチョンがあって、アルバムの方向性も話し合いながら決めて。
———今井さんが作詞・作曲を担当した「Over Yourself」と「Bumrush」は、ロックと電子音楽の穏やかな融合。永井さんがメインボーカルを取る「Stranger」はフォーキーでゆっくりしたメロディ、かつ日本語と英語が織り交ぜられた歌詞が新鮮で。と、いずれもTESTSETならではの楽曲になっていますね。
砂原
「Bumrush」は、特にLEOくんの90sオルタナティブ感が強いけど、そこにエレクトリックが混ざり合った曲になったよね。
今井
私は制作当初から、永井くんのリードボーカル曲が聴いてみたかったから、みんなに提案していて。そうしたらゆっくりした「Stranger」のデモを用意してきて。
砂原
永井くんは、テンポアップしたものも送ってくれて。アルバム全体が出来上がってきた頃、全編通してテンポの速い曲が多いので、最初のデモに近いバージョンが採用されて。
今井
サウンド、歌詞を含め、アルバムの重要な役割を果たしていると思う。少なくとも砂原さんと私では作れない曲ですね。
———コミュニケーションを介した有機的な制作をしながら、メンバーが一堂に会し、スタジオで作業することはなかったそうですが。
砂原
自宅スタジオの機材環境が一番いいと思うので。外のスタジオのモニタースピーカーで聴くと、ちょっと変わって聞こえるからイヤなんだよね。
今井
しかし、これからライブが続くから、リハーサルはしておかないと。
砂原
もう少し体に新しい楽曲を馴染ませたいね。スタジオではライブの構成や機材を確認するだけで。練習したって、意味がないと思うんだよね。本番のステージを重ねてこそ、曲に味わいが出てくると思う。そういう理由で、ツアーもあるけど、全国のライブ制作会社の皆さん。ブッキングをお待ちしています!