日本を代表するハイエンドオーディオブランドであるパナソニックの〈テクニクス〉が、昨年12月にオープンした〈Technics café KYOTO〉。最上級クラスのオーディオ機器による上質なサウンドを浴びながら、コーヒーや軽食まで楽しめる。コアな音楽ファンの試聴から、観光客や学生の居心地のよい休憩場所にまで、幅広いニーズに応える京都の新名所だ。
今回は、自身も東京・中延でアンビエント専門のレコード店兼カフェ〈春の雨〉を経営する中澤敬さんが、この環境で聴きたい10曲のプレイリストを作成するために、この店を訪れた。マニアも唸る選盤が魅力の一方で、日頃から音楽好きに限らず様々な人に楽しんでもらえる店づくりを心がけているという中澤さんが最初に気になったのは、店内の空間設計だった。
「吹き抜けの高い天井や、大きく開けた窓から降り注ぐ日の光が印象的ですね。外の音も聞こえてきて、穏やかで開放感がある。ストイックで密室的なオーディオルームとはまた違った雰囲気だなと。音楽って、どんな空間で流れるかによって聞こえ方がすごく変わるものだと思っていて。ここは天気、湿度、人の流れといった外部の環境がダイレクトに影響するので、時間帯によってガラッと雰囲気が変わるのが面白い。豊かな環境で音楽を体感できると思いました」
オーディオシステムは、スピーカー(SB-R1)、ターンテーブル(SL-1000R)、プレーヤー(SL-G700M2)、アンプ(SU-R1000)と総額700万円ほどになる高級仕様。早速、試聴することに。
「音の細部まで際立つ再現性がとても高いので、こんな音が鳴っていたのか!と再発見がありました。一つ一つの音がよく聞こえてくるので、立体感が感じられます。開放的なムードも相まって、多層的な装飾のある広がりを持った音楽が聴きたくなりますね。アンビエントミュージックは複雑で重層的な音の響きが魅力なので、この店の環境を最大限楽しむのにうってつけだと思いました」
〈テクニクス〉のアイコニックな商品であるターンテーブルを意識した床のデザイン、手触りのよいコンクリートのカウンターやベンチなど趣向を凝らした内装も楽しい。カフェも含めて、店全体が開かれた雰囲気を演出する。
「自宅では実現できないような特別な音質で音楽を体験できる場が、街の中にあって気軽に訪れられるのはいいですよね。本来はハードルが高い場所になりがちですが、カフェや内観の設計によって入りやすくしてくれている。ミニマルで洗練されているのに、排他的ではなくて居心地がいいんです。今回はそんな開放的な空間で映えることや、オーディオシステムのいろいろな魅力を引き出せるように意識して選曲しました。ぜひ実際にお店で楽しんでもらえたら」
中澤さんが選んだ10曲が、〈Technics café KYOTO〉のBGMに
店のイメージと音環境に合わせて選曲されたプレイリスト。3月中は店内のオーディオで再生される。
Technics café KYOTO
阪急京都線烏丸駅から徒歩4分、京都市営地下鉄烏丸線四条駅から徒歩5分。
住所:京都府京都市中京区新町通錦小路下る小結棚町444 京都四条新町ビル1F|地図
TEL:070-7817-3849
営:11時〜20時(金・土〜22時)
休:年末年始