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知覚を揺さぶる表現活動で一歩前へ。玉山拓郎が着る〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉

シンプルで美しいデザインと高い機能性を併せ持ったアスレチックブランド〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉が共感を寄せるのは、新たな道を切り拓く次代の挑戦者たちだ。ごくありふれた家具や日用品などのオブジェクトと、さまざまな色彩の照明や映像、音などを組み合わせることで、鑑賞者の知覚を揺さぶる鮮烈な作品を発表し続けるのが、アーティストの玉山拓郎さん。この日、山梨・北杜にある多目的施設〈GASBON METABOLISM〉で作品を展示していた彼を訪ね、その“アスリートマインド”を掘り下げた。

photo: Naoto Kobayashi / styling: Keisuke Shibahara / hair&make-up: Rumi Hirose / text: Emi Fukushima / edit: Yu-ka Matsumoto

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ターニングポイントになった、2019年のロサンゼルスでの展示

「ここでは今、2018年に〈CALM & PUNK GALLERY〉で行った個展『Dirty Palace』で発表した作品を再構成して展示しています。いずれも自分の中で重要な作品ではありますが、発表から時間が経っている。金属素材のフレームを加えるなどして空間としてのスケール感を変化させて、今のアプローチに近づけています」

この日〈GASBON METABOLISM〉で展示されていた作品について、そう説明する玉山拓郎さん。国内外の展覧会に数多く参加し、これからますます飛躍が期待されるアーティストだ。彼がモチーフとするのは、既存の風景の中にある家具や日用品などの身近なオブジェクト。それらに強烈な色彩の光や映像、音などを組み合わせたインスタレーション作品は、独特のスケール感や配置の妙によって、鑑賞者の知覚にズレや違和感をもたらす。

2015年に東京藝術大学大学院を修了し、アーティストとしての活動を本格化させた玉山さん。大きなチャレンジとなったのが、初めての海外での作品発表の機会となった、2019年のアメリカ・ロサンゼルスのギャラリー〈Nonaka Hill〉での展示だった。

「もともと僕がモチーフにしていたのは、細い裏道に置かれている異常に大きいゴミ箱だったり、日向に干されてひからびているモップだったり、欧米の都市の中にある煩雑なイメージです。展示をする前は、現地ではそうしたイメージへの既視感が強く、面白さや新鮮さを感じてもらえないのではという懸念がありました」

しかしそんな予想に反して、玉山さんの作品は現地でも高い評価を得る。「自分がイメージとして抱えていたものと、現実にある風景とは確かにちゃんとズレていた。自分の表現が海外でも通用することを実感することができました」。と同時に、ロサンゼルスでの滞在期間には、既存の風景の中で見つけた違和感を作品の起点にする自らのアプローチをより強固なものにする気づきも得た。

「自分が作品の起点としているイメージは、たしかにロサンゼルスの街中にも散らばっていました。でもその実際の様子を目にしたときに、不思議と『偽物みたいだな』と思ったんです。ゴミ箱もモップも、人の営みがあるからこそ存在しているはずのものなのに、人がいなくなるとそれらは自立し、それなりの存在感を放つ。どこか現実味がなくて、違う世界の隙間かのようなその“妙さ”は、以降の作品により色濃く転化されるようになったと思います」

他者の考えが介入することで、作品の規模、可能性が広がっていく

ロサンゼルスでの経験を経て、「いずれは活動の拠点を海外に移したい」と考えるようになった玉山さん。そのかねての思いを結実させる形で、2025年3月から1年間、ロサンゼルスで創作活動に向き合うことを決断した。背景にあるのは、自身の表現をのびのびと突き詰められる環境に身を置きたい、との思いだ。

「日本のアートシーンでは今、アートを買うことを推奨する、いわばハードルを下げるようなアプローチが多いですよね。もちろん美術が身近なものとして開かれていくのは素晴らしいことですが、美術の文脈においては、絶えず新しい価値を生み出し、育んでいくことも大事。そうした土壌は、日本においてはまだ十分ではないと感じています。特に僕のような大型のインスタレーションの場合、マーケットの中の価値に重きを置いて作品を作っていくことはできない。スケールの大きい作家活動を抱える土壌が整った欧米の方が、今後自分が作品を発表する環境としては望ましいと考えました」

   

  

   

   

新たなる挑戦を決め、活躍のフィールドが広がるとともに、年々大きくなっていくのは作品の規模。今面白いのは、自分の作品に、自分以外の人の考え方が介入することだ、と玉山さんは話す。

「来年豊田市美術館で行う個展では、美術館の空間自体を作品に転化させるような大型のインスタレーションを準備しています。規模が大きい分僕一人では作れないので、建築家を筆頭にいろんな人に関わってもらっていて。その中では、構造的に柱を1本加える必要がある、強度的に一部素材を変える必要がある、など、作品を成立させるためのさまざまな視点が加わっていく。想像していなかった方向へと作品が変容することが、新鮮で面白いです」

生み出したイメージを他者に具現化してもらうこと。それは、自らの作品を、元来志向する理想形に近づけることにも繋がった。

「初期の頃は、状況的に仕方なく自分の手を動かして作品を作っていましたが、本質的には作品に、自分の作家としての手垢のようなものを残したくないんです。仮に何かをペンキで塗ったときに、かすかに残ったハケの目の跡が作家性を帯びてしまうことによって、イメージの純度が薄れてしまう気がして。

イメージ自体はたしかに僕が生み出したものであっても、他者の手を介して形作られることによって、作品自体が“僕”という存在から離れ、自立して主体性を持っているような状態があるべき姿。ある意味、工業的な仕上がりを目指しているので、誰かの手で作ってもらえるようになった今の状態は、アウトプットとしても望ましいんです」

作品においても、装いにおいても大切にするのは、素材、色、形

自らの作品においては、素材、形、色について徹底的にこだわりながら進めていく玉山さん。日頃のファッションについても、そうしたアーティストならではの眼差しが見え隠れする。

「まず大切なのは素材感。生地に物質的な魅力を感じる服を選ぶことが多いですね。その次にくるのが色や形。特に色は、オフホワイトや濃いめのブラウンなどを選んで、コーディネートはワントーン。微妙な色味の違いでバランスをつくるのが好きですね」

作品においては、鮮やかな色を効果的に取り入れるが、身に着ける色は一転シンプル。「作品と作者って同等の存在ではないと思っていて、僕は僕で、作品は作品であることが重要。そのスタンスが、作品で用いる色と、僕自身が生活の中で選ぶ色との違いに表れているのだと思います」と玉山さんは話す。

この日着てもらった〈東京デザインスタジオ ニューバランス〉のアイテムは、アスレチックウェアを手がけてきたブランドならではの機能性を持ちつつ、シンプルながらも考え尽くされた美しいシルエットが特徴だ。

「造形的にも魅力がある服だなと感じましたね。機能がデザインとしてきちんと共存している状態の服、というか。そういう感覚に、すごくシンパシーを持ちました」

来年からは気持ちも新たに海を渡る玉山さん。それと同時に改めて挑戦したいのが、旅。作品の起点にもなる既存の街のさまざまを、自分の目で見たいのだという。

「僕は海外の見慣れていない風景であっても、どこかで見聞きした情報をもとにただイメージだけで捉えて、知った気になっている節がありました。ですがロサンゼルスでの展示や、今年行った台湾での滞在制作を通じて、現地の空気感や、人やものとの関わりの中に、自分の知らないことがたくさん隠れていることを実感しました。だから数日間ずつでもいいので、各地を旅したいなと。特に、アフリカやイスラム圏など、自分にとってまだ心理的距離がある場所に足を運んでみたいですね」

レーヨンを混紡することで通常よりもソフトな肌触りに仕上がったフリースのプルオーバーをセットアップでコーディネート。環境負荷を考慮したリサイクルポリエステルは、軽くて保温性も抜群。さらに丈夫な上に従来のフリースに比べてソフトな肌触りを実現。

ハーフジップフリース24,200円、フリースパンツ29,700円、スニーカー19,800円(以上東京デザインスタジオ ニューバランス/ニューバランス お客様相談室)、ウールシャツ30,800円(バトナー TEL:03-6434-7007)

ニューバランス ジャパンお客様相談室

次代の挑戦者たち。Season 2|TOKYO DESIGN STUDIO New Balance

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