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〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉を着る中村圭佑が、亀有で始めた新たな場づくりとは

シンプルで美しいデザインと高い機能性を併せ持ったアスレチックブランド〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉が共感を寄せるのは、新たな道を切り拓く次世代の挑戦者たちだ。都市の中にある遊休施設を一時的に占有し、さまざまな企画を仕掛けることで一般に解放する「SKWAT」などの取り組みを通じて、斬新な場づくりを続けるDAIKEI MILLSの中村圭佑さん。彼が今まさに向き合っている仕事に表れる“アスリートマインド”を掘り下げる。

photo: Naoto Kobayashi / styling: Keisuke Shibahara / hair&make-up: Yoshikazu Miyamoto / text: Emi Fukushima / edit: Yu-ka Matsumoto

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挑戦が手繰り寄せた、スケールの大きな高架下開発

東京・亀有にあるJR常磐線の高架下の一角。数千平米にも及ぶ巨大な敷地こそが、中村圭佑さんが今まさに挑戦に向き合う拠点だ。いずれはここをアートを軸にした複合施設として地域に開く予定。現在は空間の一部を自ら率いる設計事務所DAIKEI MILLSのワークスペースにしながら、準備を進めている。

中村圭佑

 

 

 

 

 

 

中村圭佑

「つくろうとしているのは『(仮称)SKWAT ART CENTRE』という施設です。以前から共に場づくりを進めてきたアートブック専門のディストリビューター〈twelvebooks〉、そして書籍とレコードの卸販売をする〈VDS〉にテナントとして入ってもらうほか、ギャラリーのように使えるフリースペースや公園、コーヒースタンドなどを設け、アートやカルチャーを起点に地域の内外の人が集う場になればいいなと思っています」

そもそも中村さんがこのスケールの大きな場づくりに携わることになったのは、再開発の計画を知ったのがきっかけ。仕事として獲得するまでの経緯に、アスリート顔負けのチャレンジスピリットが表れている。

「ジェイアール東日本都市開発主導で、常磐線の亀有駅〜綾瀬駅間を再開発する計画が進んでいるとの情報を知り、この高架下物件を見に訪れたのが最初です。広大な空間に惹かれたのはもちろん、東京藝術大学も近接しているこのエリアにはかつて、『JOBANアートライン』というアートを軸にした沿線開発の構想があったことも知って、自分の活動とも親和性があるなと。自分なら地域にとってより意義深い提案ができるのではないかと考え、携わりたいと思いました。でもジェイアール東日本都市開発側と繋がりがあるわけではなかったので、正面突破でコンタクトを取りました(笑)。約1年間の話し合いを経て、挑戦の機会をいただくことになりました」

中村圭佑

時代や自分の変化に沿って、行き着いた亀有の地

今回のプロジェクトは、彼が南青山を拠点に2020年から力を注いできた「SKWAT」という取り組みをさらに一歩深めたもの。都市の中に点在する隙間のような空き物件や遊休施設=VOIDを一時的に占有し、文化的な仕掛けを施すことで一般に解放する運動だ。

「構想を始めた2019年は、世の中が東京オリンピックに向かっていた時期。時代が変わり、都市も変化していく中で、社会に対して何か新しい試みができないかと考えて立ち上げたのが『SKWAT』です。高級ブランドが軒を連ねる通りにアートブックの拠点をつくったり、仮設施設のような無骨な空間にフランス発のファッションブランド〈ルメール〉を誘致したりと、トライアルを続けてきました」

いわば東京のど真ん中といえる青山周辺で、価値が希薄になっていた場所に光を当てることで、世の中に大きなインパクトを与えてきた中村さん。そんな彼が2023年夏に、拠点を亀有に移し、新たな挑戦をするに至ったのには、次のような思いがあった。

「今はまたコロナが徐々に収束し、世の中が転換点を迎えていると思うんです。街全体がまた新しいフェーズに入ってきたことも実感する中で、同じ場所で続けていくのではなく、別のアプローチも試してみたいなと。だから東京の郊外を視野に入れて、新しいフィールドを探していました。また僕自身、昨年40歳を迎え、ライフスタイルや価値観が変化する中で、スピードの速い土地ではなく、腰を据えて向き合える場所に拠点を置くのもいいなと考えました」

中村圭佑

 

 

 

 

 

 

そんな思案の最中で出あったのが亀有の高架下物件。拠点を移してまだ半年ほどだが、「東京のイメージが変わった」と中村さん。

「同じ都内とはいえ環境が全く異なるので、改めて東京の広さを感じましたね。青山周辺にいると、どうしてもここが東京の中心のように思ってしまうんですが、人々の生活の中心はやっぱりちょっと離れたところにあるなと。中でも亀有は地域にまだあまり色がついていないところも面白い点。新しいアート施設をきっかけにどんな反応が生まれるか、今からすごく楽しみです」

根底にあるのは、既成概念に抗うということ

時代の変化を捉えながら、絶えず趣向に富んだアイデアを繰り出す中村さんだが、装いに関しては「ほぼ毎日同じ」とのこと。上質ながらも、色味、形ともにシンプルなアイテムを着回している。

「だいたい黒か白のパンツに、同じく黒か白のロンTやシャツを合わせるというスタイルが多いです。モノトーンを着ておけばどんなシーンでも間違いないというところもあって、もはやユニフォームのようになっていますね(笑)。逆に、休日は明るい色の服を着ることもあります。テニスが趣味で、スポーツウエアは明るい色味のものが多いので、自ずと派手な色合いになることも多くて。服の色味でオンとオフを切り替えているのかもしれません」

今回着てもらった〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉のアイテムは、シンプルなデザインと美しいシルエットを誇りながら、軽やかな着心地と機能性を持つ優れもの。仕事でも休日でも、シーンを問わずシームレスに取り入れられるアイテムだ。

「自分が普段着ている服のようなシンプルさや着心地の良さがありながら、クリーンな印象もあるので場所を選ばず着られそうです。仕事柄、自分一人で考えて物事を前に進めていく作業が多いので、服まで自分で選んだものだけを着ていると、どこか飽きてしまうところもあって。今回のような機会をいただき、新しいアイテムを取り入れて、服をもっと楽しんでみるのもいいなと思いました。濃いグレーの色味というのも、挑戦しやすいです」

20代前半の頃に仲間たちと裏原宿のフリースペース〈VACANT〉を立ち上げたことに始まり、DAIKEI MILLSをスタートして商業施設やオフィスの空間を手がけたり、「SKWAT」を通じて既成概念にとらわれない場づくりをしたり。絶えずチャレンジを続ける中村さんだが、「意識的に挑戦してきたわけでもない」とのこと。

「時代の流れや自然の流れに沿って、自分がやるべきことをやっている感覚なんです。ただどの活動にも共通しているのは、根底にパンク精神があるということでしょうか。既成概念にどう抗うか、既存の価値をいかに転換させられるか、というところに常に自分の軸があるんですよね。それを続けていることが、言葉を変えると“挑戦している”ということになるのかもしれませんね」

植物由来の材料を用いてフッ素フリーを実現したC-ZERO撥水加工で仕上げたナイロンジャケット。防風効果も高く、生地表面に凹凸を作ることで温暖な気候下でもドライな着心地に。また、ヴィンテージライクな風合いでシワになりにくいのが特徴。こちらは5月に登場する新色のダークグレー。同じ素材で作られたパンツは、裾にリブとジップが施されており、よりスポーティな印象。右側の腰部分にはイヤホンなどのちょっとしたアクセサリー類を収納するのに便利なポケットがデザインされている。

ナイロンウィンドジャケット33,000円、クイックドライTシャツ11,000円、ナイロンウィンドパンツ29,700円(以上東京デザインスタジオ ニューバランス/ニューバランスジャパン お客様相談室)、その他私物

ニューバランスジャパン お客様相談室

TEL:0120-85-7120

次代の挑戦者たち。TOKYO DESIGN STUDIO New Balance

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