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短編映画をもっと身近に。下北沢にVHS喫茶〈TAN PEN TON〉がオープン

短編映画がVHSで観られるカフェ。そんな珍しい形態の店〈TAN PEN TON〉が2023年10月に下北沢ボーナストラックにオープン。仕掛けたのは映画レーベル〈NOTHING NEW〉だ。代表の林健太郎と鈴木健太がその野望を語る。

photo: Jun Nakagawa / text: Honoka Saito

下北沢にオープンした「VHS喫茶」の野望とは?

「日本ではまだ触れる機会の少ない短編を、身近に感じられる場所が作りたくて。濃度の高い作品を10分ほどで観られる気軽さが魅力です」(鈴木)

「長編より手軽に製作できるので、海外では若手の監督が長編を撮る前にパイロットフィルムとして短編を撮る文化もある。そんな短編の文化が日本でも根づいてくれれば」(林)

現在店内では2人が厳選した約10本の短編作品が観られる。

「コメディやアニメーション、SFまで幅広いジャンルの作品を選んでいます。東京藝大の卒制のような、あまり観る手段がなかったものも。今後も実験的な作品を積極的に置いていきたいなと思っています」(林)

オープンから1ヵ月半。VHSというキャッチーさから、映画好きに限らず学生や近所に住む年配の方、海外の方をも惹きつけている。また演劇や音楽など様々なジャンルのクリエイターが集まるハブとしても機能し始めており、今後新たなエンタメが生まれる場所となりそうだ。

12月8日には彼らの新事業として、映像プラットフォーム〈NOTHING NEW〉もオープン。コンセプトは真夜中の映画自販機だというが。

「0時から4時までしか映画が観られない、ある意味不便なサービス。だからこそ興味が湧いたり、特別な体験になったりする。それはVHSも同じ。今は日本でもいろんな監督が短編を作り始めていて、これからさらに盛り上がる予感です」(鈴木)

下北沢 TAN PEN TON ビデオ
店内で観られるVHSの一部。それぞれ個性あるラベルが貼られており、内容よりもまずはジャケで選ぶ人も多いとか。「個人的なおすすめはヨーロッパ企画の上田誠さんの初期作品集(左端)。今の彼らの作風の原液のようなもので、粗削りな部分も含めて面白いです」(鈴木)