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〈CAPCOM〉中山貴之の、思い出のゲーム。『ストリートファイターⅡ』

ゲーマーを魅了してやまない名作の作り手が、どんなゲームで遊び、育ってきたのかを知りたい!〈CAPCOM〉中山貴之さんを作り上げた思い出のタイトル、ゲーム作りの心構えについて尋ねました。

本記事も掲載されている、BRUTUS「GAME STYLEBOOK 2023 ゲーム、どう楽しんでる?」は、好評発売中です。

illustration: Shuichi Hayashida / text: Neo Iida

ゲームクリエイター:〈CAPCOM〉中山貴之

中山貴之
なかやま・たかゆき/2012年カプコン入社。『オトレンジャー』などの作品を手がけ、『ストリートファイターⅤ』に途中から参加。その後シリーズ最新作となる『ストリートファイター6』でディレクター、デザインを担当する。使用するキャラクターは、30年来の相棒ガイル。

思い出のゲーム

ストリートファイターⅡ
ストリートファイターⅡ

格ゲー黄金期に出会った、大きなキャラクターが悠々と動く『ストⅡ』

僕の原点は小学生の時にゲームセンターで出会った『ストリートファイターⅡ』です。当時のアーケードは家庭用ゲーム機に比べてハードのスペックが抜群に高くて、大きなキャラクターがアニメみたいに悠々と動くのに驚きました。うるさいはずのゲームセンターで、耳に残るBGMが印象的だったことも覚えています。格ゲー黄金期だったこともあり、そこから格ゲーにハマっていきました。格ゲー以外の家庭用ゲームも遊んでいて『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』はサービス精神の豊かさに圧倒されましたね。特定の条件でクリアすると、上下反転した城が現れ再び散策できる。その遊び心と、プレイヤーにどう楽しんでもらうかを考える姿勢にぐっときました。

ゲームを作るうえで大事だなと思うのは、まずボタンを押した時のリアクションの心地よさ。剣を振るアクションにも、気持ちいい振り方、そうでない振り方がある。『ストリートファイター6』(以下『スト6』)では、新たにワンボタンで必殺技が出せる「モダンタイプ」という操作方法を考案しました。コマンド入力をカジュアルに噛み砕き、気持ちよく戦えるように進化させています。

『悪魔城ドラキュラ』で感じたように、ゲームってサービス業なんですよ。『スト6』は初心者の方々にも遊んでほしくて、いろんな要素を入れました。格ゲーに慣れていない人は負けることに臆病になっていると思ったので、ストレスを軽減するために、すぐ再戦できたり、勝敗を記録しなかったりと、負けた時の気持ちを楽にするシステムを考えました。ワールドツアーではリュウや春麗が前向きな言葉をかけてくれるから、やる気も湧くはず。負けたプレイヤーのケアというのは、格ゲーがやってこなかった新しい領域だと思うんです。入口は優しく、奥行きは深くありたい。そうしないとシリーズが続いていきませんから。

プライベートは趣味が多く凝り性で、物事のしくみを調べるのが好きです。イタリアのヒップホップが好きなのも、政治を批判する市民たちの運動が音楽につながった背景があるから。気になった物事を掘ると、どのように文化が形成されたか道筋がわかる。その考え方が、ユーザーにこう思ってもらうにはどうしたら?と逆算してものを考えるきっかけになるんですよ。

中山さんの代表作

ストリートファイターⅤ
ストリートファイターV
ストリートファイター6
ストリートファイター6

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