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気鋭のクリエイターが作る台湾メイドの日用品が欲しい!

近年、若い世代に人気が高まっているのが“台湾メイド”の日用品。注目は台湾に古くから伝わる技術や文化を踏襲しつつ、現代のデザインやアイデアを吹き込んだもの。まさに伝統と確信が生む新潮流だ。話題のクリエイターの“温故知新アイテム”を探せ!

photo: Koh Akazawa / text: Yuriko Kobayashi / coordination: Chen Tsuiwen (MPX)

Kamaro’an House

台湾原住民族・アミ族の伝統工芸を、現代の暮らしの中に

Kamaro’an〉は台湾原住民族・アミ族の伝統工芸に現代のデザインを加えることでモダンなプロダクト作りを行うブランド。

「豊かな水田が広がる花蓮に暮らすアミ族は、水稲と共生するシュロガヤツリという植物を乾燥させて編み、美しいゴザを作ってきましたが、徐々にその文化も失われつつあります」とは、自身もアミ族であり、クラフト製作を担当するナツさん。

以前からアミ族の文化に興味を持っていたデザイナーの張雲帆さんの誘いを受け、ブランドの立ち上げに参加した。ナツさんが部族の工芸師から教わったゴザの作り方や、1本のラタンからカゴを編む技術、文化的な価値観。それらを最大限生かそうと生まれたデザインはシンプルかつ機能的で、美しい。

「生活から生まれた工芸には後付けしたデザインでは出せない機能美があります。伝統工芸はお土産のイメージが強いですが、暮らしに取り入れて日常的に楽しんでほしい。それを通して原住民族の文化に関心を持ってもらえたら最高です」(張さん)

台北〈Kamaro’an House〉革小物
革小物にはアミ族伝統の編み物技術を生かしたワンポイントの装飾が。下は携帯ポシェット3,900元。

DESIGN PIN

先人の知恵から続々と生まれる、サステイナブルな日用品

台湾の優れたデザインに贈られるアワード「ゴールデンピン・デザイン賞」を受賞したアイテムを展示・販売する〈DESIGN PIN〉。中でも近年注目されているテーマは“循環”で、限られた資源を有効活用することで環境への負荷を減らそうとするサステイナブルな日用品が人気だ。

「土地が狭く、資源が乏しい台湾では昔からリサイクルが盛ん。その技術やシステムを生かして、若いクリエイターたちが環境に配慮したプロダクトを作り始めています。価格が高くなりがちなサステイナブルアイテムも、グッドデザインという付加価値のおかげで手に取ってもらえる機会が増えました」と広報担当の魏岑芳さん。

コーヒーかすを素材に使ったタンブラーやリサイクルガラスのカップ、海に廃棄された漁網からできたサングラスなど、それぞれのプロダクトが作られた背景やストーリーを知ると、アイテムへの興味がいっそう増してくる。買い物することで地球の環境問題解決に貢献できるのも嬉しい。

台北〈DESIGN PIN〉オーガニック調味料
オーガニック食品や調味料などを扱うコーナーも。

林靖蓉

台湾ガラス工芸の扉を開いた、若き職人

日本の大学でデザインを学ぶ中でガラス工芸に魅了され、東京の専門施設で技術を習得した林靖蓉(リン・セイヨウ)さん。台湾は昔からガラス産業が盛んだが、その多くは工業製品。工芸としてガラスを扱うクリエイターはほとんどおらず、林さんはその草分けだ。

「ガラスの最大の魅力は光と影」という言葉通り、林さんの作品はシンプルだが、光の具合によって多彩な影を作る。その濃淡や揺らぎも作品の一部なのだ。アトリエがあるのは台北の〈誠品生活〉松菸店内で、ガラス張りの工房では、林さんら職人が燃え盛る炉の前でガラス作りに向き合う姿が見られる。有料で皿やカップなど、吹きガラスの技法を使った器作り体験も可能。林さんの作品も一部販売している。

台北〈林靖蓉〉ガラス作品
透き通る美しさが魅力の吹きガラス作品。中央のプレート1,980元。

NAKNAK

町工場×デザイナーが起こした化学反応

金属や木材加工など多分野で高い技術を持つ専門工場が多い台湾。その底力を生かしてプロダクト作りを行うのがデザイナーの曽文彦さんだ。2015年に始めたブランド〈NAKNAK〉は、町工場の技術を用いてデザイン性の高い商品を作ることがコンセプト。

「職人たちは細かいデザインのリクエストも忠実に再現できる頼もしいパートナー」と曽さん。スチールを極限まで薄くし、無数の穴を開けることで軽量化した収納ボックスを皮切りに、木材加工工場とコラボしたスツールなど、様々な台湾メイドのプロダクトを生み出している。町工場の活性化と産業技術の継承、そしてデザイナーの成長。三方よしの取り組みは、世界からも注目を集めている。

台北〈NAKNAK〉鉄製の「THE BOX」
金属加工工場の技術が生んだ鉄製の「THE BOX」が最初の商品。

FENKO CATALYSIS CHAMBER

紙をアートに。製紙会社3代目の挑戦

日本と同様、台湾では古くから紙作りが盛んに行われてきた。その文化を新しい形で発展させようとしているのが、製紙会社の3代目のリノ・リーさんだ。時代とともに需要が減る国産の紙の魅力を伝えるため、アートと紙の可能性を探るプロジェクト〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉を始動。

紙を使ったインスタレーションの発表や、紙素材のファッションアイテムの製作など、斬新な紙の使い方を発信する。ショールーム兼ショップでは紙の販売も。「初めて触る質感の紙や見たことのない色、発見がたくさんあると思います。ブックカバーにしたりインテリアのアクセントにしたり。紙の使い方は無限大。その楽しさを体験してみてください」

台北〈FENKO CATALYSIS CHAMBER〉ソックス
紙が原料のソックスは、もちろん洗濯OK。コートなども製作中。

羅翌慎

若手作家が生む、おおらかな台湾茶器

コロナ禍以降、台湾の若い世代の間では伝統的な茶道を習う人が増えているそう。羅翌慎(ルゥオ・イーシェン)さんは、台湾茶を楽しむ人々が熱い視線を送る作陶家の一人。伝統にとらわれない自由なフォルムの茶壺(ちゃふう)は、いい意味で台湾茶器のイメージを大きく変えてくれる。

「台湾茶は道具や作法に縛られない、自由な文化。だから僕も自由に茶器を作っているし、使う人にもそうであってほしい」と羅さん。釉薬の研究を日々続けながら、温かみのあるクリーム色やシャープな黒など、表情の異なる茶器を生み出している。「もちろん台湾茶以外に使っても楽しいと思うよ」と、至っておおらか。販売は個展やポップアップが中心なので、滞在中に巡り合えたらラッキー。

台北〈羅翌慎〉茶器
台湾茶だけでなく、紅茶やコーヒーにも使えるデザインのものも。