旅人たちの窓辺。写真家・野川かさねが撮る、山小屋の窓
山小屋の窓
20年近く登山をしていても、怖さや不安がなくなることはありません。山を歩き、その先に小さく山小屋が見えた時にはいつも安堵して、自分が守られていると身にしみて感じます。山小屋の中の窓からは光や雨、雪、風に揺れる木々などが見えて、刻々と変化する山の空気を感じます。それらを体で味わうことが自然の中に身を置く醍醐味ですが、そこにはやっぱりそこはかとない怖さがあって……。
山小屋の窓は外と内、山と自分の間にあって、安心感を与えながら両者を繫いでくれるもの。完全に遮断してしまうのではなく、光や風景を介して、ゆるやかに山と自分が混じり合っていく。そんな「あわい」としての窓を感じた時、シャッターを切ってしまうのです。