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日常にもっと想像力を。漫画家・大童澄瞳が〈Meta Quest 3S〉と過ごす1日

空想世界を愛するクリエイターは、日常生活でどんなふうにアイデアをふくらませる?漫画家・大童澄瞳さんが最新MRヘッドセット〈Meta Quest 3S〉に出会った、イマジネーションに飛び込む1日。

photo: Yu Inohara / text: Kohei Hara

仮想ディスプレイを活用した近未来的スケッチ体験

2016年から『月刊!スピリッツ』にて漫画『映像研には手を出すな!』(以下、『映像研』)を連載している大童澄瞳さん。アニメーション制作に挑む女子高生3人組を描く『映像研』の世界には、巨大ロボや未来兵器、クラゲ型UFO、地下迷宮など、SF的感性を刺激するシチュエーショが多数登場する。大童さん自身、小学生の頃『ドラえもん』をきっかけにSF世界にのめり込んだ背景があり、“日常生活の中にある未知”に憧れを抱いてきた。

「自分のルーツになっている『ドラえもん』もそうですが、日常と未知が地続きにある物語が好き。宮﨑駿さんや押井守さんの作品も同じ部分で強く惹かれますし、自分の発想にも大きな影響を与えていると思います。その延長で、最先端技術や機器などにも目がないので、作業場はいろんなデバイスや模型で溢れかえっています」

液晶ペンタブを使ったオールデジタル作画で月刊連載をしながら、しばしばVTuberとしても自ら動画配信を行う大童さん。仕事でもオフでも好奇心を刺激するデバイスを求めている彼に、かねてから興味を持っていたという最新MRヘッドセット〈Meta Quest 3S〉を体験してもらった。

〈Meta Quest 3S〉を体験する漫画家・大童澄瞳
本体を起動し、ホーム画面の景色を眺める大童さん。

まずは〈Meta Quest 3S〉のMRマルチスクリーン機能を使って、アイデアソースになる画像を見ながらスケッチに挑戦。MR(複合現実)とは、現実の空間にデジタルオブジェクトを融合させる技術のことで、完全に仮想世界に没入するVRとは異なり、MRでは例えば現実世界の視界の中にディスプレイ上に映る仮想ディスプレイを出現させることができる。

今回〈Meta Quest 3S〉を装着した大童さんは、自身が普段からイメージソースとして撮り溜めていた街の写真を複数枚の仮想ディスプレイに表示させながら、手元では紙と鉛筆を使ってラフスケッチを描いた。「どんな仕上がりになるのか僕も楽しみです」と意気込みながら、瞬く間に描き進めていく。

「普段、作画をする際はどうしても資料や模型が机の上にかさばってしまいがちですが、今回は複数の素材をMRのディスプレイに表示することができました。見たいものをすべて一つの視界に収められたので、作業効率的に、これほど楽なことはないなと。

それに、レンズから覗く世界とペンが紙に触れる感覚とに、ズレがほとんどないのが印象的です。『ここに描きたい』と思ったところに、ちゃんと鉛筆の芯の先が触れる。たとえばスマホのカメラを覗きながらその向こうで字を書いたりすると、かなり視差があると思うんです。その問題が極限までクリアになっているというのは、作画作業においてもかなり有用性があると思います。今日はまだ慣れていなかったのでスケッチ上の遠近感を少し見誤りましたが、これもまた普段の自分が描けない絵。いつもの作業に偶然性が入り込んでくる、刺激的な体験でした」

大童さんは普段、モニター上にGoogleストリートビューを開きながら作画をすることが多いという。ネット上で散歩をするように作画のインスピレーションを得ているのだ。また、連載開始当初から実践しているのは、『映像研』に登場する街やロケーションを紙製の模型で作成し、その街を俯瞰しながら最適なカメラワークを検討すること。斬新なコマ割りはこうした手法によって生まれている。

「今日表示したのは画像でしたが、今後MR空間に3Dモデルを置いて、自由自在に拡大したり回転させて見る位置を変えたりもできると思うので、今後やってみたいですね。デジタルが持つ便利さとアナログが持つリアルな感触のいいとこ取りができたら、僕の理想的な作業環境そのものですね」

巨大スクリーンを眺めて自分時間に没入

しっかりスケッチをしたので、手のひらの側面を真っ黒く汚した大童さん。童心に返るような心持ちで、今度はヘッドセットを装着しYouTubeを見ながらリラックスタイム。過去に大童さんが投稿した焚き火の動画を見ながら、畳に寝転がってゆったりとしたひとときを過ごす。

「まず画面が視界いっぱい、大きいサイズで見られるのが爽快ですね。それに、スマホやテレビと違って、仰向けになったときに天井に画面が表示されるので、楽な体勢のまま見られるのがいい。作業中にモニターの前を離れると画面が見えなくなるのは当たり前ですけど、仮想ディスプレイ位置を自在に動かせるのでヘッドセットを着けていれば付いてきてくれるのも、とても快適。

僕は普段、作品のアイデアを出すために、長時間お風呂に入ったり布団にくるまったり、物理的に自分の空間にこもるようにしています。でも〈Meta Quest 3S〉を装着すれば、基本どんな場所でも、どんな体制でも自分時間に没入できそう。滝の映像をずっと流し続けたり、視界を制限したりして、情報量をコントロールして、自分にとって快適かつ集中できる環境をつくれそうです」

MRゲームでいつもの風景が非日常に変わる

最後に挑戦してもらったのは、初心者にもオススメのMR専用ゲーム「First Encounters」。部屋の壁面部分が仮想空間上で崩れ落ち、辺境の惑星と接続される。部屋の中に突如として現れる、ふわふわしたエイリアンを救出するシューティングゲームだ。普段から気分転換にはもっぱらゲームをしているという大童さんが、初めてMRゲームをプレイ。華麗にハイスコアを叩き出した。

「光線銃みたいなものを手にしてエイリアンにビームを当てていくんですが、自分が照準を向けた方角へと、ちゃんと正確に弾が飛んでいくのが気持ちよかったですね。子どものころから触れてきたSF作品にも、生活空間が突如として異世界へとつながるようなイメージをよく見てきたので、それを具体的に体験できるのは感慨深いです」

日常から飛躍するイマジネーション

現実の世界から、突如としてアニメーションの世界やSF的な世界観に突入するのは大童さんが描く『映像研』の魅力とも共通する部分がある。生活と地続きにある未知の世界を思い描いているからこそ、〈Meta Quest 3S〉は彼の日常に溶け込んでいきそうだ。

「仕事でも家事でも、あるいは遊びでも活躍してくれると思います。最初は物珍しい未知の機器として好奇心を駆り立てられましたが、実際に体験してみると、意外に自分の生活に寄り添ってくれる、頼りがいのあるデバイスなんだなと。

僕は、布団を山に見立てておもちゃのミニカーを走らせるみたいな遊びをいまだに楽しんでいますが、MRヘッドセットを装着すれば、レンズを通して布団がまさに緑の生い茂る山へとトランスフォームしてくれるかもしれない。将来的に、仮想空間と現実空間が混じり合った世界で遊ぶことができれば、想像力を無限に掻き立ててくれるんだろうなとワクワクします。そうした未知の世界とつながる体験は、今までにないインスピレーションを与えてくれるはずです」

完成したスケッチと〈Meta Quest 3S〉
完成したスケッチを眺めながら。「この、3つ目レンズのデザインもかっこいいですよね。メカ好きの心がくすぐられました」