WATCH
CHRONICLE

わずかな光も電気に変えられる光発電「エコ・ドライブ」に不可欠な光を透過するダイヤル素材に選んだのは土佐和紙。その上にプラチナ箔を散らす伝統技法、砂子蒔（すなごま）きで冬の早朝の情景を写し取った。年差±5秒という超高精度ムーブメントは、永久カレンダーや時差設定機能も装備。日本の伝統と先進、両方の技術が一つに融合した。世界限定400本。径38.3mm。クォーツ。スーパーチタニウムケース。451,000円（シチズン／シチズンお客様時計相談室☎0120・78・4807）

"CALM NIGHT" （穏やかな夜）がデザインのテーマ。サファイアガラスベゼルに斜線から水平線に緩やかに角度を変える江戸切子の伝統技法”千筋”を取り入れ、月明かりが差し込む静かな夜の海を表現した。ベゼルのカットを上半分は表から、下半分は裏から入れることで表情はより豊かに。硬質なDLCで処理した黒いチタン外装も、夜を想起させる。世界限定600本。径43mm。クゥーツ。チタンケース。682,000円（カシオ／カシオ計算機お客様相談室☎0120・088925）

〈ゼニス〉は今年迎えた創業160周年を、ブランドカラーであるブルーのトーン・オン・トーンで仕立てた記念モデルで祝した。そのケースとブレスレットは、他社よりも明るい色調のブルーセラミック製。それと同じ色味に整えたダイヤルには、4つの点を結んだ星を連ねた幾何学モチーフのエングレービングを施した。搭載する「エル・プリメロ 3600」は、中央のクロノグラフ積算計針が10秒周期で高速運針し、1/10秒単位の計時を完全に可視化する。世界限定160本。径42mm。自動巻き。セラミックケース。3,245,000円（ゼニス／ゼニス ブティック銀座☎03・3575・5861）

植字の時インデックスを敢えて短くして余白を広げ、複雑なバーリーコーンのハンドギヨシェをダイヤルの主役とする。ラグスポにミニマルな美を提示したコレクションの36mmモデルは、デイト表示がないためダイヤルの工芸的な美が際立つ。これはその新色、ストーンブルー。ブルーダイヤルはラグスポの定番だが、シックな色合いが好印象である。外装と自社製ムーブメントのすべてに、入念な手仕上げが行き渡る。手作業でローレット装飾を施したベゼルはPt製。径36mm。自動巻き。SSケース。3,454,000円（パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com）

どれほどの人が、予想できただろうか？エンジニア向けに開発されたツールウォッチに、小ぶりな35mmケースが登場することを。天才と称賛されたジェラルド・ジェンタが1976年に手がけた「インヂュニアSL」のデザインを、再構築。ラグスポの始祖の一つとして"ジャンボ"と呼ばれた存在感は、ここまで小さくなっても健在である。コレクションを特徴づける、耐磁のための軟鉄製インナーケースを敢えてなくしたことで厚みが9.4mmに抑えられ、スーツにも合わせやすいオールマイティな一本となった。径35.1mm。自動巻き。SSケース。1,617,000円（IWC☎0120・05・1868）

〈タグ・ホイヤー〉はこの2025年、F1の公式タイムキーパーに復帰を果たした。それに伴い「タグ・ホイヤーフォーミュラ1」を刷新。1986年に誕生した初代の姿とカラーリングを受け継ぎながら、外装とムーブメントを進化させた。イエローの回転ベゼルには軽く頑強な新素材TH-ポリライトを用い、SSケースは高硬度なDLCでコーティングしてブラックとした。イエローメブラックの外装に、光発電ソーラーグラフCal.TH50-00を収めた。径38mm。クォーツ。SSケース。269,500円（タグ・ホイヤー／LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー☎03・5635・7030）

自社製フライングトゥールビヨンCal.5.1搭載モデルの新装は、ダイヤル中心付近を開口し、主要なギアトレインやリューズ機構を覗かせた。丁寧に仕上げられた各パーツは、見応え十分。そして6時位置では、メゾンを象徴する意匠の一つ、獅子の顔を配したトゥールビヨンのキャリッジが、宙に浮いているかのように秒をカウントする。オープンワークとも相まって、メカニズムとデザインとが美しき融和を果たした。小さな獅子の顔を、ここまで立体的に表現している。円を重ねたダイヤルの幾何学的構成は、裏蓋側に見えるムーブメントにも反映される。径42mm。手巻き。Ptケース。22,000,000円（シャネル／シャネル［カスタマー ケア センター］☎0120・525・519）

ダイヤルからロゴとインデックスをなくした「コンセプト」シリーズに、半貴石を用いた限定コレクション「ポップ」が新登場した。これはその一つ。トルコ石をメインダイヤルに用い、その6時位置をくりぬいてサンゴ製のスモールセコンドインダイヤルをはめ込んだモデルだ。2種の天然素材による鮮やかな色の組み合わせは、まさにポップ。小ぶりなケースに、72時間駆動の自社製自動巻きCal.HMC 202を搭載。手作業による装飾仕上げが美しく、また精度の高さでも定評がある。世界限定28本。径38mm。自動巻き。SSケース。7,513,000円（H.モーザー／エグゼス☎03・6274・6120）

フラットな幅広ベゼルにダブルロゴを刻んだ 〈ブルガリ〉 ウォッチのアイコンの新装ダイヤル。深い色味のブルーにホワイトがランダムに入り混じるダイヤルの素材は、ブルーマーブルである。イタリア美術史において重要な役割を果たしてきた大理石製ダイヤルは、ローマの名門による新作としてまさにふさわしい。またダイヤルに用いるための最適な模様を厳選し、視認性を損なっていないのもお見事。アリゲーターストラップの色合いも、ダイヤルと完璧にマッチさせた。径38mm。自動巻き。18KPGケース。2,530,000円（ブルガリ／ブルガリ・ジャパン☎0120・030・142）

堅牢なアウトドアウォッチの名作が、人気のゲームシリーズ『Call of Duty」とタッグを組んだ。さまざまに仕上げ分けたダイヤルなどゲームのための特別仕様が、そのままの姿で現実世界に登場した。裏蓋にはCoDのロゴを刻印。80時間駆動の高性能な自動巻きを搭載し、頑強な専用ボックスが付属しながら、この価格設定は驚き。世界限定5,000本。径38mm。自動巻き。SSケース。129,800円（ハミルトン／ハミルトン スウォッチ グループジャパン☎03・6254・7371）

ダイヤル中段に並んだ2つの窓は、左が時、右が分を示す。かつて創業者がその師と共に製作したのがドイツ・ドレスデンにあるゼンパー歌劇場の5分間デジタル表示式時計。この機械式ウォッチはそこに着想を得た。ダイヤル外周には数字が赤くなって日を表すデイト表示が備わる。分は2枚、時・日は各1枚の表示ディスクを1分・10分・60分・24時間ごとに瞬時に切り替える。そのために、ゼンマイの力をバネにため各時間の経過ごとに開放する精密な動力制御メカニズムを開発。4時位置のボタンで時刻、8時位置で日付が修正できる設計で、押し込んだ指を離した瞬間に切り替わる。径44.2mm。手巻き。18KPGケース。価格要問い合わせ（A.ランゲ&ゾーネ☎0120・23・1845）

モデル名にある”アンフィシアター”とは、円形劇場の意。古代ローマのコロッセオから着想を得、ダイヤルのインナーリングに170個ものダイヤを段差ごとにセットし、階段状の観客席に見立てた。その内側の舞台では、フライングトゥールビヨンが主役となる。構造上、高さが必要な複雑機構を、スリムな8.4mm厚のケースに収めてみせたのが高い技術力の証し。スケルトン構造と氷柱群にも似たバゲットダイヤが、薄さの中に豊かな奥行き感をもたらす。径40m。手巻き。18KRGケース。価格要問い合わせ（グッチ／グッチ ジャパン クライアントサービス☎0120・99・2177）

シャープなドーフィン型の針と楔形のインデックスといったディテールを、1954年誕生の初代「コンクエスト」から引用。外周をスロープ状に落ち込ませたダイヤルも、初代以降の各世代からインスピレーションを得ている。そうしたメゾンのヘリテージを受け継ぎながら、ブレスレット仕様とすることでモダナイズ。適度なレトロ感と上質なスポーティ感を併せ持つ、デイリーウォッチに仕立て上げた。裏蓋には、50年代モデルと同じ彫金とエナメルで造作したフィッシュモチーフのYGメダリオンを掲げる。径38mm。自動巻き。SSケース。481,800円（ロンジン☎03・6254・7350）

モダンスケルトンのスポーツウォッチに、一回り小さな40mmケースを追加。ギリギリまでオープンワークを施した透明感豊かなムーブメントのフレームをアンスラサイト（濃炭色）に染め、精悍な印象を高めた。と同時に秒針と透明なダイヤルに差したターコイズブルーが、爽やかなアクセントに。COSC認定クロノメーター取得の高精度を誇りながらアンダー70万円は、お見事！　径40mm。自動巻き。SSケース。693,000円（ノルケイン／ノルケインジャパン☎03・6864・3876）

1959年に誕生したスポーツウォッチ「ローレル アルピニスト」の名を継承。そのスクリューバックによる高気密ケースの伝統も継ぎ、20気圧の高防水仕様となっている。コブラの頭と注射器に似たカシードラル針が、レトロな雰囲気。ナチュラルなグリーンダイヤルには4時位置のリューズで操作する方位計付き内転リングが備わり、登山やトレッキングに向く。径39.5mm。自動巻き。SSケース。126,500円（プロスペックス／セイコーウオッチお客様相談室☎0120・061・012）

アバンギャルドなスケルトン構造が、いかにもこのメゾンらしい。搭載する自社製Cal.RD780は、クロノグラフ作動中でもリセットできるフライバック機構を装備する。3時位置は分積算計で、三つ又の針にそれぞれ備わる0・1・2の数字と右側のインデックスを組み合わせ、0～29分を表示させるのがユニーク。さらに9時位置に見えるテンプは傾斜させることで等時性を高める独自の設計理念に基づいている。世界限定88本。ブティック限定。径45mm。自動巻き。18KPG＋チタンケース。20,515,000円（口ジェ・デュブイ／ロジェ・デュブイ 銀座ブティック☎0120・151・995）

各インデックスを配したチャプターリングを透明なサファイアクリスタル製とし、入念に手仕上げされたミニッツリピーター機構をダイヤルにあらわにする。リューズ同軸のボタンを押すと、現在時刻を分単位で異なる音階で打ち分ける2つのゴングは、なんと風防と一体成型したサファイアクリスタル製。メゾンの特許技術であり、ゴングと同素材の風防が共鳴し、音色は朗々と鳴り響く。ゴングは極めて硬いため、その音質は凜として他とは一線を画す。世界限定20本。径42.5mm。手巻き。18KYGケース。47,740,000円（ショパール／ショパール ジャパン プレス☎03・5524・8922）

屋外のダンスカフェ"ギャンゲット"で手を取り合って踊る2人が、正牛と午前0時になると、近づいて手を下ろし、体を傾けキスをする。このロマンティックな動きは、8時位置のボタンを押せばいつでも再生可能だ。さらにダイヤル上部では、雲から顔を出した2つの星が、時と分をそれぞれレトログラード式で示している。カップルと石畳は彫金、背景はグリザイユエナメルといった優れた工芸技術を駆使して表現した。径38mm。自動巻き。 18KWGケース。26,664,000円（ヴァン クリーフ&アーベル/ヴァン クリーフ&アーぺル ル デスク☎0120・10・1906）

1960年に誕生した、薄型時計コレクションの名を継ぐ新作。世界でも屈指の薄さを誇る1.98mm厚のCal.6890を収めたケースの厚みは8.3mmと極薄で、かつミニマルな2針でもあり、見るからにドレッシーな印象である。さらに尾張七宝の伝統を継ぐ老舗〈安藤七宝店〉が手がけた、純銀に刻んだ文様を透かし見せるエナメルダイヤルが、上質感を演出する。径37.4mm。手巻き。Ptケース。4,950,000円（クレドール／セイコーウオッチお客様相談室［クレドール］ ☎0120・302・617）

1959年に宝飾界に進出したピアジェは、その4年後に時計のダイヤルにいち早く半貴石を用い、センセーションを巻き起こした。以来、ストーンダイヤルは、メゾンを特徴づける手法の一つとなった。永久カレンダーが備わるこのスポーツウォッチの新作は、ダイヤルにブルーのオブシディアン（黒曜石）を採用し、ニュアンス豊かに装った。複雑機構であっても、ケース厚を8.65mmの薄さに仕立てるのがピアジェらしさ。6時位置のムーンフェイズは、円形ディスクが左右に移動して実際に近い月相を表す。各インダイヤルも黒曜石と色合わせし、ワントーンに仕立てた。径42mm。自動巻き。 18KWGケース。15,576,000円（ピアジェ／ピアジェ コンタクトセンター☎0120・73・1874）

デザインコンセプトは「クラシカルエレガント」。このモデルも、エレガントで上質な5連ブレスレットを組み合わせた自動巻きを、30万円台で実現してみせた。ブレゲ針とブレゲ数字が、気品あるヴィンテージ感を創出。ケースは小ぶりでダイヤルはニュアンスのあるブルーで、68時間パワーリザーブ。径38.5mm。自動巻き。SSケース。363,000円（フレデリック・コンスタント／フレデリック・コンスタント相談室☎0570・03・1988）

今あるダイバーズウォッチの基本機能とスタイルは、1953年にブランパン＞が生み出した「フィフティ ファゾムス」で確立された。そのデザインを継承する現行コレクションに、ジェンダーレスで使いやすい38mmケースが仲間入り。そのRGケースのダイヤルにはマザー・オブ・パールを採用。ともすれば優しい印象になりがちな自然素材をブラックグラデーションにカラーリングすることで、大人びたシックな雰囲気をまとわせた。搭載するCal.1153は、100時間のロングパワーリザーブを誇る自動巻き。これは潜水中に決して時計を止めない、という意志の表れだ。径38.2mm。自動巻き。 18KRGケース。4,818,000円（ブランパン／ブランパン ブティック 銀座☎03・6254・7233）

1994年に大ヒットしたマルチカラーのインダイヤルが備わる、オーバーサイズのクロノグラフ「SEPPIA」にインスパイアされた新作の登場である。ケースのマットブラックとの対比で、インダイヤル以外にも随所にちりばめられた多彩なネオンカラーが浮き立つデザインだ。タキメーターと回転ベゼルが備わるクロノグラフが、〈スウォッチ〉ならこんなにも身近な一本となる。径47mm。クォーツ。23,980円（スウォッチ／スウォッチ グループジャパン☎0570・004・007）

ダイヤルにむき出しになったムーブメントが、内側に歯を持つ黒いリングに沿って60分で1周し分針となる。忘れ去られていた複雑機構「カルーセル」が、ダイナミックに再構築された。ダイヤル中央のギヨシェを透かし見せるフランケエナメルディスクに時針が載り、12時間周期で回る仕組み。テンプ・ヒゲゼンマイ・脱進機はシリコン製。テンプはゴールド製のウェイトで必要な慣性モーメントを得ている。メカニズムのすべてが、独創的だ。世界限定120本。径43mm。自動巻き。18KRG＋チタンケース。8,041,000円（ユリス・ナルダン／ソーウインド ジャパン☎03・5211・1791）

永久カレンダーにGMTを搭載ーーそれだけなら他社に多くあるため特別感は薄いが、この一本は極めて革新的である。なぜなら大半の永久力レンダーは日付をレバーで送っているため、戻せない。しかしこのモデルは、マイナス時差に合わせて時針を操作しても日付が連動する、つまり戻るのだ。戻し操作がでる永久カレンダーは、過去作も含め数例しか存在しない。月・西暦・閏年（うるうどし）表示を裏蓋側に配置したことでダイヤルが整理され、視認性は極めて高い。ブティック限定。径44mm。自動巻き。Ptケース。12,287,000円※参考価格（パネライ／オフィチーネパネライ☎0120・18・7110）

2005年に登場した初代「ビッグ・バン」と同じカーボンエフェクトパターンダイヤルを用いた、コレクション誕生20周年記念モデルの一つ。鮮烈な真紅のセラミッグ"レッドマジックは、〈ウブロ〉の独自の素材。炭化しやすい赤い顔料の色を保持するため、通常より低温で焼成しながら高圧をかけることで、鮮やかなレッドと、既存のセラミック同等の硬度を両立。ムーブメントには、自社製クロノグラフ「ウニコ」を採用する。世界限定100本。径43mm。自動巻き。セラミックケース。4,356,000円（ウブロ／LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ☎03・5635・7055）

ダイヤルデザインは1853年、NY本店の入口に設置されたギリシャ神話の巨人アトラスが掲げるクロックをモチーフとする。1983年に誕生した「ティファニー アトラス」のダイヤルが、初めで"ティファニー ブルー”にカラーリングされ、よりアイコニックに装った。ダイヤルの造作も、特徴的なローマンインデックスをエンボス加工で凹状に改めている。さらにインデックス周りを、スロープと仕上げの違いで視覚的に3分割することで、立体感が一層高まった。径38mm。自動巻き。SSケース。753,500円（ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク ☎0120・488・712）

四角いビス留めベゼルと丸いダイヤルを組み合わせたアイコニックな外観は、コックピット計器から着想を得て生まれた。そんなミリタリースタイルをケースの四隅に丸みを持たせ、ブレスレットと統合。随所に鏡面を差し込むことで都会的な雰囲気に仕立て直したコレクションにコンパクトな36mmケースが投入された。ケース厚も8.5mmと薄くなり、ダイヤルはサンレイ仕上げによる光沢感を湛え、一層エレガントな印象を高めている。デイト表示をなくし、よりマニア好みになった。幅36mm。自動巻き。SSケース。649,000円（ベル＆ロス 銀座ブティック☎03・6264・3989）