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曽我部恵一の選ぶ歌謡曲。革新的なアプローチで制作された、オルタナティブなヒット歌謡

歌は世につれ、世は歌につれ。昭和から令和まで私たちとともにある歌謡曲。曽我部恵一さんが選ぶ3曲は?

text: Keiichi Sokabe

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1.山口百恵「プレイバック Part 2」

山口百恵「プレイバック Part 2」
作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:萩田光雄/1978

山口百恵さんの名曲、「プレイバック Part 2」は、かなり革命的な構造を持つ曲。

通常Aメロ、Bメロ、サビにCメロという順番が歌謡曲のよくあるパターン。しかし、この曲の「馬鹿にしないでよ」というフレーズは、実はBメロ部分。ほかにも歌詞に車名「ポルシェ」や沢田研二「勝手にしやがれ」など固有名詞を引用するのも挑戦的。酒井政利プロデューサーの依頼で宇崎&阿木コンビは修正を重ねたそうですが、結果的に見事に歌謡曲の定石を壊して大ヒット。

2.小泉今日子「Fade Out」

小泉今日子「Fade Out」
作詞・作曲・編曲:近田春夫/1989

「Fade Out」は、近田春夫さんのプロデュースで、日本でいち早くハウスミュージックを導入した革新性がある。ディスコへ向かう車内における男女の駆け引きが歌われています。当時はすでにクラブがメジャーになりつつあったにもかかわらず、あえてディスコを選んだところに、近田さんのディスコ愛を感じます。

3.ちあきなおみ「夜へ急ぐ人」

ちあきなおみ「夜へ急ぐ人」
作詞・作曲:友川かずき、編曲:宮川泰/1977

「夜へ急ぐ人」は、内省的フォークの極北を歩んでいた友川かずきさんによるもので、かなり攻めています。ちあきなおみさんは、この曲を引っ提げ、第28回NHK紅白歌合戦に出場。当時6歳だった僕は観ていたはずなのですがピンク・レディーに夢中で、覚えていないのが残念です……。

歌謡曲の定義は人それぞれだと思いますが、僕にとっては「社会にコミットしようとしているすべての歌」だと考えています。しかし、パッと思いついた曲は、ヒットしながらも非常に挑戦的な楽曲になりましたね。

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