1.「ハッとして!Good」田原俊彦
中学生の頃から、昭和の歌謡曲を意識的に聴き始めました。1990年代に流行っていたJポップと比べ、イントロや歌い出しなど“つかみ”の部分が圧倒的に強く、すぐに覚えて口ずさむことができたのが大きな魅力でしたね。昭和歌謡の多くは作詞家と作曲家らの分業制で作られている。ある意味では商業音楽だからこそ誰が歌っても曲の魅力が損なわれない、強い音楽ができたんだと思います。
「ハッとして!Good」のイントロは、管楽器が重なり、ものすごい多幸感がある。
歌詞は王子様系の妄想型。あり得ない設定だけど、具体的な情景描写により、脳内で世界観が具現化されるのが面白い。歌詞の喉越しも気持ち良くて、僕は辛い時に聴いて、頭をパキッとさせています。
2.「ウナ・セラ・ディ東京」ザ・ピーナッツ
「ウナ・セラ・ディ東京」は、東海林修編曲による不穏なストリングスのイントロに、思わず気持ちがつかまれます。車の運転中に、このイントロを聴くとアドレナリンが出て覚醒するんですよ。この曲はキラーチューンの一つ。
3.「卒業」斉藤由貴
「卒業」は、松本隆さんが詞先で作って、筒美京平さんが曲を当てたそう。メロディに縛られない強い物語性が鮮烈です。冒頭の「制服の〜」から少し間が空いたりして、そんな複雑さが印象に残ります。サビもいいけど、やっぱり歌謡曲は最初が大事だなって思います。だってソニック・ユースみたいなバンドに歌い出しが重要なんて言えないですからね(笑)。