角舘健悟が語る「CHEER UP! THE SUMMER」
「音と歌、音楽にあるさまざまな要素が、見事に融合した応援歌」
大学時代、『RAY OF HOPE』を友人に借りてから、『OPUS』を聴き込んだ時期がありました。今のバンドを始める前はドラムを叩いていたんですが、パンクが好きだったのもあって、いろんな楽器を弾いても音の切り方が打楽器のようになるんですよね。そんな時に達郎さんの曲から、歌とカッティングの関係性がはっきりとあることに気づいた。そこからますます好きになりました。
『SOFTLY』は、今まで好きだった曲たちのネクストステップが勢揃いした、ベスト盤のように聴きました。コンセプチュアルなインタールードがあるわけでなく、すべてが開かれていて、しかもレベルアップしているのが衝撃的で。全然、SOFTLYじゃないじゃん!って(笑)。
「CHEER UP!THE SUMMER」は、コロナもあって不安定な自分を、詞が重んじてくれているようで勇気づけられましたね。ビートにも応援感があって、エネルギッシュで、頑張ろうって。達郎さんのバックにはサイヤ人みたいに最強の人しかいないから、バチバチにハメたレコーディングをしてくるのかと思ったら、リズムが有機的でもあり、無機的でもある。
レコーディングをしているのか、めちゃくちゃ打ち込みをしているのか、わからないところもありました。打ち込みだと、どうしてもパワフルなビートになっていくんですが、音と歌のパワーが同軸にあって、声も音も負けずに融合している。しかも、その仕上がり具合も洗練され切っている。「アトムの子」もビートが鳴る中で音楽が進んでいくというより、ビートとメロディと歌詞と世界観が全部一緒に出撃していますよね。
アルバムからは、自らアレンジメントをして歌い熟していく、一人のミュージシャンの人間像のようなものも感じ取れた気がします。自分もそれをやらなきゃと思ってしまった。達郎さんの曲は音楽へのパッションとともに、どこか生きることや働く大切さのようなものをずっと説いている気がします。ストイックに突き詰めた先にある、優しさみたいなところにすごく惹かれるんですよね。