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生活に毒とユーモアを差し込む。ラッパー・TaiTanの小さなアートとの暮らし方

部屋に飾られるアートには、その人の個性が色濃く映し出されている。ラッパー・TaiTanさんはどのようにアートを選び、暮らしているのだろうか。

photo: Naoto Date / text: Neo Iida

生活に毒とユーモアを差し込む

ラッパーのTaiTanさん宅のリビングは、天井が高く、白い壁と木の造作が調和する心地よい空間だ。造り付けの本棚には飾り棚があり、夫婦で思い思いに好きなものを飾っている。つぶらな眼差しでこちらを見つめるソフビは、サエボーグの作品。TaiTanさんが初めて買ったアートだ。

サエボーグ

「パフォーミングアーツをされている作家さんの作品。僕は生々しいテクスチャーが好きで、これは質感も素晴らしいんですよ。怪獣やアメコミのソフビは集めだすと際限がないけど、アーティストの作品は一体でも十分存在感がある」。悩んで一度は帰ったが、思い直した。「自分も音楽をやっているし、好きな作家の作品はなるべく買おうと思ってるんです。それがアーティストの次の活動につながって、還元されるから」

テーブルに立て掛けた額には、宗教画のような絵に意味ありげな目玉が2つ。羽根木の〈Out of museum〉で買った、オーナーでアーティストの小林眞さんの作品だ。「作家さんとは知らず、ビジュアルが好みで買いました」と話すように、TaiTanさんにはやや毒のある作品を好む傾向が見られる。その審美眼で選んだアートが、優しく光の差す空間にエキゾティックなスパイスを与えている。

小林眞