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有機と無機のバランスに惹かれる。アートディレクター・小酒井祥悟の小さなアートとの暮らし方

部屋に飾られるアートには、その人の個性が色濃く映し出されている。アートディレクター・小酒井祥悟さんはどのようにアートを選び、暮らしているのだろうか。

photo: Naoto Date / text: Neo Iida

有機と無機のバランスに惹かれる

「職業柄、仕事でお世話になった写真家の作品を購入することが多いんです。なので、職場でも自宅でも多いのは写真。立体作品は珍しいですね」

そう話すアートディレクターの小酒井祥悟さんがリビングに飾るのは、西舘朋央の木製の作品。2020年頃に〈(PLACE) by method〉で行われた個展を訪れ、目に留まって購入した。グレーに塗られ、パズルのように組み合わせられた木材の間からは、無垢かつ力強い本来の姿が覗く。

小酒井さんの自宅は壁の色に合わせ、ホワイトやグレーなどの色合いを基調にしている。工業的でミニマルな家具が多いため、自然物はいっそう存在感を放つ。選んだ決め手は、有機的な素材と、無機的な表現のバランスだという。

「普段は仕事柄、物事を整理してシンプルにアウトプットする傾向にあるのですが、紙などの素材を選ぶ際は複雑なテクスチャーがあるものに惹かれます。筒のような形状をした作品もあったんですけど、この形が気になって決めました。西舘さんもイチオシだって」

光が当たるとくぼみと斜めのパーツの傍らに影が生まれ、見るたび表情を変える。生き物のようで幾何学的な作品が居間にある。その多面性が魅力的だ。

コラージュアーティスト・西舘朋央の作品
シェルフは目黒通りの〈Sonechika〉で購入したアンティークで、元はキッチン用。オブジェとして飾る花器は、佐藤正徳の作品や那須の〈板室温泉 大黒屋〉、松本の〈ちきりや工芸店〉で購入したもの。

西舘朋央

コラージュアーティスト・西舘朋央の作品
にしだて・ともお/1978年生まれ。音楽制作会社で作曲や音響効果の仕事に携わったのち、イギリス旅行の路上で拾ったゴミのコラージュ日記を作り始める。立体と平面を同居させ、建築的構成とブリコラージュ的思考で作品を生み出す。