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古今東西の職人技が暮らしを彩る。ユタナンの手工芸品コレクション

目まぐるしく変わる時代の中で、素敵な大人たちがブレずに大切にしているものは何か。スタイルやクリエイション、さらに生き方にも大きな影響を与える必需品を〈Sillage〉ディレクターのユタナンさんが語る。

photo: Shinsaku Yasujima / text & edit: Keiichiro Miyata

古今東西の職人技が、暮らしを彩るスパイス

「有名、無名、匿名は問いません。価値を決める基準は、心に刺さるかどうか」という視点で集められた世界各国の手工芸品が、ユタナンさんの暮らしの必需品だ。雑食ともいえるジャンルレスな収集スタイルは、自身のルーツが大きく影響しているそう。

「フランス人の父と、タイ人の母を持つ私にとって異文化をブレンドすることはごく自然なことでした。地域性のない均一化された工業製品よりも、ルーツが滲(にじ)み出た手工芸品の方が遥かに興味深いのはそのため」

原点である、異文化を調和させることは、今ではブランドのもの作りの要となり、自身の着こなしのマイルールになっている。

世界各国の手工芸品
(1)ザクロ、セイヨウアカネで染められたヴィンテージキルト。
(2)ビーズで神聖なモチーフを描いたナイジェリアの壁掛け。
(3)人間国宝、安部榮四郎の創作和紙を着想源に服を製作中。
(4)カブトムシのさなぎのオブジェは〈BLACKBOOTS CERAMICS〉にオーダーしたもの。
(5)ロシア発祥のマトリョーシカ人形がネパールで塗装されたお土産品。互いの文化が共存。
(6)クラフト感溢れる木製ビーズの首飾りは〈ルメール〉。
(7)ヤクの毛を編んだ、ネパールのレッグウォーマー。
(8)Instagramで偶然見つけた英国製のハンドメイドグローブ。温かみある表情に惚れて購入。
(9)丹念に鞣されたイタリアの革バンドも立派な手工芸品。〈スウォッチ〉を自らカスタム。
(10)沖縄の陶器、やちむん。小泊良の小皿と、那覇市壺屋地区で購入したぐい飲み。
(11)友人のニットアーティスト、オレリー・マティゴに作ってもらったストラップ。
(12)工業製品を代表するスニーカーに、中世から続くイタリア伝統のかぎ針編みが施された〈LC23〉のプロダクト。
(13)パキスタン伝統のキルト製。〈シアージ〉のアーカイブ。
(14)ネパールの正装で被る“トピ”は、現地のダッカ織り布製。
(15)本『郷土玩具』にも載る猿の彫刻はお香立てとして使用。