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カクバリズムはなぜ今、店を始めたのか?“雑多雑食”な場〈Test & Tiny〉がオープン。

インディペンデントレーベル〈カクバリズム〉が世田谷区上馬に小さな店を開いた。扱うのはレコードのほかに雑貨やぬいぐるみなど、代表の角張渉さんが好きなもの。そのなかにはスタイリストの伊賀大介さんが選書をする本棚もある。

photo: Koh Akazawa / text: Asuka Ochi

角張渉

前々から自分たちにとって身近なものが置いてあるような店をやりたいなと思ってはいたんだけど、石橋を叩いて渡る保守的なタイプだから動かなかったんだよね。

でも長年レーベルをやってきて自分に飽きているところもあったし、20周年を機にやってみようかなと。伊賀くんはいつも、これ面白いよ、って言って本をくれるでしょ。そんなふうに薦めたいものを共有できる場所にしたくて。

伊賀大介

今日も色々な本を持ってきたけど、どれもすごいレア本ってわけじゃなく、ネットで探せば買えるものばっかりなんだよね。でもやっぱここで出会うのがいいなって。

角張

本棚を見てるだけでそういうバイブスを感じられるし、この場所で手に取ることで、Amazonのレビューを読む以上のものが伝わってくる。

若い人たちが来て、内容がわからないから聞いてくれたり、買わないのに3時間も店にいたりとかいう、インターネット以前の本や音楽との出会い方が店の理想に近いかな。

伊賀

立ち読みだっていいしね。本棚は自分でキュレーションしだすとダメになるってみうらじゅんさんが言ってたから、並び順もぐちゃぐちゃにしてて。キム・ジヨンの横に、山城新伍があったり。

角張

レコードもあえて整理してない。一枚一枚ジャンルが違うから楽しい。

伊賀

最近さ、飯の写真を撮る時にお店の人に声をかけるようになったんだよね。聞く方がお互い気分がいいっていうか。

角張

いつも〈せい家〉とかだから聞かないけど、最近マスターのすぐ横に座って食べるような円形のテーブルのラーメン屋に行って、そこはさすがに聞いたね。

伊賀

それは聞く(笑)。一周回って今って、コミュニケーションの時代だよね。

スタイリストの伊賀大介とカクバリズムの角張 渉