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「誰かにとって、心地よい居場所を」。本屋〈栞日〉代表・菊地徹さんに話を聞く

山国ならではの自然や、古くから受け継がれる文化を守り、時代に即して一新する〈栞日〉代表・菊地徹に話を聞いた。

photo: Kenta Sasaki / text: Saki Miyahara

誰かの居場所をつくり、
松本の町に恩返しを

〈栞日〉の代表、菊地徹さんは松本のことを「自然との距離が近く、文化が暮らしに根づいている町」だと語る。この町で暮らすことを決め、2013年に喫茶と書店を併設した〈栞日〉を開店。

「誰かにとって、心地よい居場所をつくる」という構想は、菊地さんが大学生の頃から既に描いていたものだった。店内を覗くとコーヒーを飲みながらくつろぐ人、新しい本との出会いに目を輝かせる人、皆思い思いに豊かな時間を過ごしている。

20年には〈栞日〉の向かいにある銭湯〈菊の湯〉を引き継いだ。閉業の知らせを聞き、銭湯のある風景と文化をつないでいきたいと継承することを決意。毎日開店前から並ぶ常連客の姿を見ていた菊地さんは「みんなの居場所を留めたかった」と言う。直面する課題やリクエストに応えていくうち、宿、ギャラリーと幅広い展開になっていった〈栞日〉。松本の町に欠かせない存在になっている。

〈栞日〉代表・菊地徹さん
〈栞日〉ではインディペンデントな出版を主にセレクト。現在は菊地さんだけでなく、スタッフも一緒に選書している。