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もしも、柴犬が雑誌編集者だったら?だいふく編集の一日に密着!

Instagramのフォロワー数が35万人を超える人気の柴犬・だいふく。彼のデキる男っぷりは、きっと編集の仕事も難なくこなすに違いない!そんな妄想から生まれた、ifストーリーをお届け!

初出:BRUTUS No.913「犬がいてよかった。」(2020年4月1日発売)

photo: Kaori Oouchi

10時:元気に出社!

だいふくが通う出版社・マガジンハウスの入口では、ポパイ、そしてその恋人オリーブのイラストがお出迎え。ここを通る時が、一日で最も気が引き締まる瞬間。

10時10分:メールチェック

着席。まずはメールチェック。100通を超えるメール、埋もれる情報の中に、ピカッと光るものを見つけ出す、否、嗅ぎ分ける。自他共に認める、「日本一嗅覚の鋭い編集者」たるゆえんだ。企画につながりそうな情報は、さらに深掘り。「掘り下げるのは得意ですよ。だって、犬ですから!」とジョークを飛ばしてくれた。

13時:撮影立ち合い

地下スタジオへ。ベテラン俳優のAさんと撮影。Aさんは編集者に厳しいことでも有名。そんなAさん、到着するなりだいふくのもとへ。現場に緊張感が走る。「はぁ、随分と毛並みが綺麗ですね。触っても?」「もちろんです!」。これまであまたの編集者が苦戦した大ベテランも気がつけば猫撫で声。最強の特技「愛され力」で、撮影は大成功。

柴犬 だいふく
写真をモニターでチェック。撮影は大成功で、思わず口角がキュッと上がる。「この写真、良いな」。編集犬の鼻がピクリと動く。

15時:レイアウト会議

「誰よりも犬の気持ちがわかる」という特技を編集長に評価され、担当になった犬特集。その誌面のデザインを決める打ち合わせでヒートアップ。「自分も犬だからわかるんです。ブルドッグのチャームポイントであるプリッとしたお尻は、大きく見せるべき!」。話し込むこと30分……。ようやくまとまって、デザイナーもご満悦。

17時:表紙選び

雑誌の顔である表紙をどうするかは、重要な決断だ。デザイナーと考えたいくつかのパターンの中から、選りすぐりの一枚を、自慢の鼻で嗅ぎ分ける。「だいふくが選んだ表紙は売れる」。某特集が完売したのは、担当編集がだいふくに意見を求めたから、との噂も……。

19時:校正者に相談

ライターから届いた原稿を印刷所へ入稿し、ゲラ(誌面の試し刷り)が上がったら入念に読み返す。文章表現に疑問を感じたら、厚い信頼を寄せる校正者のもとへ。「この漢字はルビを振った方がいい?表現は正しい?」「犬種の表記は、ジャパンケネルクラブの表記に合わせた方がいい?」と、細部まで確認。

柴犬 だいふく
真剣に鼻先で文字を追うだいふく編集。校正者に教えを乞う時はいつも低姿勢。気になる箇所の疑問を解決したら、ゲラを印刷所へ。

20時:お疲れ様でした!

本日の業務はすべて終了。「家に帰ったら、ちょっといいおやつを食べようかな」「寝る前に、夜の散歩に行きたいな」。頭の中はそんなことでいっぱい。この時ばかりは敏腕編集犬のだいふくも、普通の犬に戻ったかのよう。

柴犬 だいふく
一日を終えて、帰りのエレベーターでは満面の笑み。「今日もやり切りました!」。しっぽをユラユラさせながら帰路につくのだった。