日を取り込みすぎない設計で3つの眠るスペースを実現
〈フォグリネンワーク〉オーナーの関根由美子さんと、建築家で夫の大橋渉さんが暮らすのは、鉄筋コンクリート構造の3階建て住宅。大橋さんが設計する際に関根さんがリクエストしたのは「明るすぎない家」。南側の窓は日差しが入りすぎないような高さと大きさに、コンクリート壁はベニヤ板を型枠にすることで表面に表情を出し、日が当たっても明るくなりすぎないようにするなど、随所に工夫が施されている。
意図したわけではないが、この家には各階に“眠るための”場所がある。1階のゲストルームは、国内外から来る客が快適に過ごせるよう、トイレ・バス付きの完全に独立した個室に。ベッドは折り畳み式なので、来客のない時には畳んだり、逆に多くの人数が泊まる時には増やしたりと自在に使えるスペースでもある。
2階のリビングには2人掛けのデイベッドソファを。ル・コルビュジエが自身の昼寝用にと手がけたことで知られる“LC5ソファ”は、〈カッシーナ〉のリプロダクション。ちょっと仮眠したい時にもちょうどいいサイズ感だという。
3階は、ベッドと本棚だけのごくシンプルな寝室。家を建てる時に決めていたのは、南向きの場所に寝室を造ること。冬は暖かいが、夏は熱が抜けないので強い日差しを入れないように設計した。窓にはブラインドとリネンカーテンを二重に使うことで、明るさや温度を調整しやすく、それが快適な寝室空間につながっている。
実は最近、2人の家に地域猫がやってきてお世話をする毎日だという。
「ご飯をあげていたら懐いてきて、猫が1階で寝ていることもしばしば。夜中や早朝に帰ってきてはドアを開けてとニャーニャー鳴くので、すぐに開けられるように私が1階で寝たり、夫が2階のソファで寝たりして(笑)。今では気まぐれな猫ちゃん中心の生活になってますが、気分によって眠る空間を使い分けできるのはいいなと楽しんでいます」