カフェボーネ
日々黙々と丁寧にハンドピック。
住宅街、宮の森に佇む小さな焙煎所。店に入ると正面に、店主・星野博さんが豆のハンドピックをする姿がある。東京の名店〈カフェ・バッハ〉の田口護さんの下で修業して、ここで開業したのが2002年の3月。今年で17年目となる。
敢えてコーヒーのレベルが高いと聞く札幌を選んだという。良いコーヒー・おいしいコーヒーとは、良質な豆を入手して丁寧にハンドピックし、適正な焙煎をして、最後にも丁寧にハンドピックすることが基本。そして自宅で飲むコーヒーが一番おいしいと思えるものを提供したいという。だから「コーヒーの淹れ方教室」(¥1,500)も丁寧に行う。
こぢんまりとした喫茶スペースもあり、星野さんの淹れるコーヒーを飲むこともできる。好みに合わせたオーダーメイドの「マイブレンド」もお願いできる。
DROP IN CAFE
「ほっとするコーヒー」を。
古き良き喫茶店の空気を湛える〈DROP IN CAFE〉。この店のカウンターがとてもいい。無言でやりとりする年配の常連さんたちに、丁寧に静かにコーヒーが落とされる。
そしてここには、同業からも支持される自家焙煎の豆がある。口に優しく、ふわっと舌にのるコーヒー。冷めてもおいしい。あくまで「ほっとするコーヒー」を目指すという店主の講武賢治さん。
大手コーヒー店で7年ほど働いた後、平岸という札幌でも古い街並みの残る場所で開業しすでに16年。開店時に当たり前のようになにげなく始めた自家焙煎。すぐにその難しさに直面して、今でもそれを追究する日々という。
コーヒーは自分の表現であり、その可能性は無限大だと、求道者のような風情もある講武さん。静かに街に溶け込む日々のコーヒーだ。いい街にはこういう喫茶店が欠かせない。
café early
ストイックな夜更けのコーヒー。
夜遅くにおいしいコーヒーが飲みたい。出身が深夜まで営業する店だったこともあり、〈early〉にはそんな人が集まってくる。
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のポスター、カウンターの正面に並ぶドナルド・フェイゲンのCDなど、開店当初から変わらぬその店内には、店主・小林久さんの美意識が表れている。
大手コーヒーチェーンで9年働き、円山で独立。11月で13年になる。ネルドリップでじっくり抽出されるコーヒーは、比較的軽い口当たりだが、後ほど舌の上にいい味が残る。自店での焙煎は行わず、市内の自家焙煎店複数からセレクトした豆を使用。
寡黙で特段のこだわりを口にしない小林さんだが、「最後に豆の味がするかもしれない、ぐらいがいいですね」と語る。味・接客・雰囲気共に非常にストイック。ここで味わう夜更けのコーヒーは絶妙だ。
珈琲焙煎棒っこ
手回しでジャランジャラン。
各種イベント出店で注目を集める〈棒っこ〉のコーヒー。〈斎藤珈琲〉や〈FABcafé〉のスタッフでもあった石田沙恵子さんが、手回しの焙煎機で焙煎を始めたのは2013年。
イベント以外ではInstagramで豆の受注販売だけだったが、この秋からいよいよ店舗販売もスタート。常時販売しているのは、確かな日用品を扱う〈パスキューアイランド〉。
ここでは豆の販売に加えて、カウンターで〈棒っこ〉のコーヒーを飲むこともできる。味は斎藤珈琲の血筋を感じる口当たりの良さ。重すぎず軽やかな豆を目指しているという。〈棒っこ〉のコーヒーのネーミングは面白い。
「よるの海ブレンド」「焚き火のよるブレンド」「ロベルトのおくさんブレンド」など。そのネーミングの理由となった物語と味の特徴が記されたメモが、焙煎豆に添えられる。