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ダンサー、俳優・佐野玲於が語る夜「一生、ストリートで踊っていきたい」

酒も要らない、音楽も要らない。そんな夜遊びがある。薄暗い公園で、無人の路上で、必要なのは仲間たちと遊び道具だけ。東京の夜は何もネオンの下だけに存在するのではない。東京を舞台に遊ぶ少年たちの終わらない夜。

photo: ROLLSWYZE / text: Kunichi Nomura / edit: Akihiro Furuya

「一生、ストリートで踊っていきたいです」

夜、外で踊るようになったのは小学4年生のとき。僕がダンスにのめり込で楽しんでいるのを察してくれてた師匠が、レッスン以外のチームの練習会に呼んでくれるようになってから。その練習は大体外でやるんです。お金もかからないですし、ストリートの雰囲気を大事にしている人だったので。

新宿の安田生命ビル前っていうのがダンサーの聖地で、そこが多かったですね。師匠のスタジオが歌舞伎町のド真ん中にあって、そこから歩いて。あとは代々木公園や地元・中野のゼロホールの前とか。ガラスをミラー代わりにして踊ってました。

セキュリティの人たちもどこか黙認してくれていて、その代わり僕らもゴミを拾ったりと、ちゃんとしなきゃというのがダンサーのルール。外練はそこで知り合って仲良くなったり、フリーな感じが最高ですね。事務所に入ったのは16歳ですがコロナ禍前までは外で仲間と踊って、ストリートの大会に出てました。

ダンサー、俳優・佐野玲於とクランプ集団の、Twiggz Fam
一緒によく踊る、Twiggz Famの仲間たちと。

夜やる理由は昼間は学校だったり、仕事だったりで夜しかできないからですが、実はそれが本当に楽しいからです。朝まで踊れば寝不足で翌日は大変。でも僕らは皆ずっと夜通し踊ってるんで、そもそも健康なんです(笑)。ここはすごくフラットな場所です。いろんな年齢の人がいますよ。20年間、夜踊る人もいますし、もちろんプロもいる。僕も一生ストリートで踊っていきたいです。仕事のときはスイッチ入れなきゃってのがあるんですけど、それがない踊りが外にはあるんで。

ダンサー、俳優・佐野玲於
かつてよく踊りに来たという代々木公園。始発が来るまで踊り明かしたこともあるというホームグラウンドでは踊りもどこか楽しげだ。