旅とスーツケースの進化の物語
旅の必需品であるスーツケース。今でこそ、転がしながら軽々と移動できるが、昔の旅はもっとずっと大変だった。
19世紀から20世紀初頭にかけて、移動の主流は船旅。旅支度といえば、大きなキャビントランクにワードローブごと詰め込み、召使いとともに運ぶのが一般的だった。そんな時代に誕生したのがトラベルアイテムのブランド〈サムソナイト〉だ。1910年、日本がまだ明治時代だったころ、アメリカ・コロラド州で産声をあげた。
その歴史は、「頑丈さ」へのこだわりとともに始まる。創業当時の広告には、大人5人がスーツケースの上に乗る姿が写っていた。強さこそが最大の売りだったのだ。
時代が進み、旅のスタイルも少しずつ変化。1941年、航空旅行が徐々に普及し始めるなか、〈サムソナイト〉は、軽さと強さを兼ね備えた「ストリームライト」を発表。
最先端のリトグラフ印刷を施した水に強いペーパー素材を採用し、旅の快適さを一段階引き上げた。この「強くて軽い」というDNAは、今のスーツケースにも脈々と受け継がれている。

ホイールが生んだ、新たな旅のスタイル
スーツケースが軽くなっても、持ち運ぶ負担はまだまだ大きかった。そこで〈サムソナイト〉はさらなる進化を模索。1974年、世界で初めてホイールを搭載した「シルエット」を発表する。
今では当たり前になったこのスタイルも、当時は画期的な発明だった。

そして2004年以降、360度回転する4輪スタイルが主流となった。その後も〈サムソナイト〉は進化を続け、静かでスムーズな走行を追求。「Aero Trac™ Whirl Suspension Wheel」と名付けられたサスペンションホイールを独自に開発し、2023年の新コレクション「EVOA Z(エヴォア ゼット)」に搭載した。この走行安定性は驚くほど。公式ムービーでは、スーツケースの上に金魚鉢を載せても水面が揺れないほどの滑らかさを実現している。
デザインもまた、時代とともに洗練されていく。「EVOA Z」のレトロブルーは、洗練された表層加工が施されたシェルや、アルミニウムのロゴバーと一体化したコーナープロテクターなど、ボディデザインが細部までこだわり抜かれている。複雑な製造工程を経て実現した、継ぎ目のないシームレスなフォルムも美しい。
さらに特別なのは、その表面仕上げだ。ブランド115年の歴史を讃え、1941年に登場した「ストリームライト」のリトグラフ印刷をポリカーボネートフィルム加工で忠実に再現。本革のようなクラシカルな質感と、深海を思わせるディープブルーが、どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出している。
使い勝手にこだわった、細やかな工夫
機能面にも注目したい。ファスナー引手には、ばらつきを抑えるマグネティックプラーを採用。背面にはハンギングフックがついており、空港や駅で手荷物をサッと掛けられる。旅先でのちょっとした不便を解消してくれる、嬉しい工夫だ。
内装も充実。両面にディバイダーを備え、右側のファスナーポケットは取り外してそのままクローゼットに掛けられる仕様に。しかも下半分は耐水性のあるウェットポケットになっており、濡れた洗面用具なども気にせず収納できる。さらに、内装生地にはペイズリー柄のヘリテージリゾートプリントを採用。ジャカード織りならではの高級感が漂い、スーツケースを開けた瞬間も特別な気分にさせてくれる。
限定モデルが紡ぐ、伝統と革新のストーリー
最新のテクノロジーと、時を超えて愛されるクラフツマンシップ。その両方を詰め込んだ「EVOA Z」のレトロブルーは、旅を愛するすべての人にとって、最高の相棒となるはずだ。この特別な一台とともに、新たな旅の記憶を刻んでみてはいかがだろうか。