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深津さくらの実話怪異手帖:第十二回「別れの季節」

怪談師・深津さくらが、自ら蒐集した実話の怪談を綴る。前回の「あちらへどうぞ」を読む。

text: Sakura Fukatsu

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第十二回「別れの季節」

新築のお祝いに、Nさんの叔父さんがやってきた。春先の午後だった。叔父さんは家の外観を褒め、庭が広くて立派だと褒め、お祝いを持ってきたと言って車に載せていた梅の木の鉢植えをお披露目した。

バケツ大の鉢を抱えるようにして軒先に下ろした叔父さんは、玄関に足を踏み入れ、そして、そのままゆっくりと胸を押さえて倒れ込んだ。大学生だったNさんがすぐに救急車を呼んだが、搬送された病院で叔父さんは帰らぬ人となった。翌日通夜が行われ、告別式や出棺や火葬が目まぐるしく過ぎていった。

遺された叔父さんの妻と子供は、見ていられないほど憔悴していた。ショックでうちのめされたような心地で家に帰りついたNさんと両親は、軒先に梅の鉢植えが置かれたままになっているのに気がついた。父親が持ち上げて移動させようとしたが、鉢はなぜか、地面にくっついたように動かない。

よく見ると、底に開いた穴から太い根が伸びて、もうずっと長い間そこに置かれていたかのように地面に根づいていた。異常な成長速度だった。まるで、叔父さんがこの世にしがみついているようだ。Nさんは、そこに叔父さんの無念さが表れているように思えてならなかった。

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