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動物園写真家・阪田真一さんが選ぶ、この夏会いに行きたいスターアニマル

見ても撮っても最高にかわいい!動物園写真家・阪田真一さんが選ぶ、「この子に会うためだけに足を運んでも損なし」のスターアニマルたち。

photo: Shinichi Sakata / text: Yuriko Kobayashi

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大阪〈天王寺動物園〉のホッキョクグマ

2020年に誕生したメスのホッキョクグマ、ホウちゃんは全国にファンを持つ、正真正銘のスター。

「プールに勢いよくダイブしたり、おもちゃで遊んだり、とにかく活発で、カゴを頭からかぶって前が見えなくなったり、ちょっととぼけた動きが笑いを誘います。あんまりイタズラがすぎると、お母さんのイッちゃんが優しくたしなめたり、母子のやりとりにもほっこりします」

タイミングがよければ、飼育員から氷や魚のプレゼントが届けられたりすることも。そんなときは、いっそうかわいい仕草が見られるそう。

「暑い日はプールでのんびり泳ぐ姿もよく見られるので、夏場にぜひ会いに行ってみてください」

愛知〈名古屋市東山動植物園〉のスマトラトラ

2頭のスマトラトラを飼育する〈東山動植物園〉。17歳のグンデは国内最高齢で、貫禄たっぷり。かたや2021年に来園したアオは2歳とまだ若く、活発。運動場で活発に動く姿は、ときに愛らしかったり、勇ましかったり。さまざまな魅力を見せてくれる。

「〈東山動植物園〉のトラ舎は柵ではなく、一部がガラス張り。すぐ目の前をトラが通り過ぎる様子は、ド迫力です。こちらに向かってくる姿を間近で捉える撮影ができるのも嬉しいポイント。ガラスの場合、写り込みがありますが、背景に植物があるので、あえてそれを写り込ませて撮影するのも手。野生では絶対に撮影できない、動物園ならではのショットが撮れるかもしれませんよ」

京都〈京都市動物園〉のニシゴリラ

ニシゴリラが見られる動物園はいくつかあるが、〈京都市動物園〉の最大の魅力はモモタロウお父さんを大黒柱とする家族の営みを見られること。「ゴリラと聞くと、力強いイメージを持つかもしれませんが、モモタロウは物静かで、とても穏やか。ちょっと臆病な面もあって、そのギャップを見るのも新鮮です。母のゲンキは端正な顔立ちで、とても母性豊かです」

兄のゲンタロウと弟のキンタロウは仲良し兄弟。「とくにキンタロウは遊び盛りで、木の枝を持って走り回ったり、母に甘えたりと、様々な動きを見せてくれます。まるで人間の家族を見ているような瞬間もあり、ずっと見ていても飽きることがありません」

静岡〈静岡市立 日本平動物園〉のオオアリクイ

長~い顔と、ふさふさの尻尾、ずんぐりとした前足。オオアリクイはその姿からしてユニークな動物。日本では6カ所の動物園でしか飼育されておらず、とても貴重な種だ。

「中でも日本平動物園は、その繁殖管理や血統管理などの役割を担っている園。展示も見やすく、イベント時など運がよければ長い舌を使ってぺろぺろとごはんを食べる瞬間も見られるかも。オオアリクイのように姿形や動きに特徴のある動物は、そこに着目して構図を作るのがおすすめ」

事前にその動物の生態を調べたり、解説版をしっかり読んだりして、どんなカットを撮れば魅力が伝わるかを考えおくのもいいと阪田さん。

「ツメで地面を掘る姿や、歩き方もとてもユニーク。じっくり観察して、面白いなと思った瞬間を写真に収められるのも、動物園ならではです」

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