アナウンサー → 旅行会社PR
SNS世代の価値観を積極的に吸収し、大好きだった旅行を仕事に
テレビ朝日のアナウンサーとして人気番組を担当していた大木優紀さん。30代で2人の子供を授かり、公私共に忙しい毎日を送る中、コロナ禍にインターネットで偶然目にしたスタートアップ旅行会社・令和トラベルの創業に関する記事に感銘を受け、転職を決意した。
「18年間のアナウンサー生活の活力になっていたのは、年に数回の海外旅行でした。海外渡航が制限されていた時期に、逆風の海外旅行ビジネスに果敢に挑戦する会社の姿勢に共感して、日本に再び海外旅行を取り戻すために私にもできることがあるんじゃないかと思ったんです」
40歳という節目を迎え、この先のキャリアについて考えようとしていた矢先だった。
「夫は面白そうだと背中を押してくれました。アナウンサーとしてやり切った思いもあり、転職に迷いはありませんでした」とはいえ旅行業界は全くの未経験。総合旅行業務取扱管理者の参考書を読んで基礎知識を叩き込み、旅行会社のサイトで他社の旅行商品を調べた。
「最初の1年は勉強の毎日。まさにリスキリングしながら業務に取り組んでいました。業務に着手したら、社内連絡はスラック、資料整理はノーション、計算はグーグルスプレッドシート。まずはツールの使い方でつまずき、飛び交う旅行業界の専門用語やビジネス用語もさっぱりわからない。ひたすら同僚に教えてもらい、自分でも日々調べて学んでいきました」
現在は、社内外のコミュニケーションや広報関連、SNSなどのコンテンツ全般を統括している。特にSNSの活用では、インターンの大学生から学ぶところがたくさんあったという。
「前職では仕事柄、正しい日本語以外は使うべきではないと思っていました。でも、TikTokなどのSNSには特有の言い回しがあって、少し前なら、“〜が最高”は“~しか勝たん”“~最強!”という言葉で表現されていました。今の仕事では、正しさより、ターゲット層にスッと伝わる言葉の方が重要です。これも全く知らない分野だったので、若いスタッフに教えてもらい、たくさんのSNSを見ていちから勉強しました。世界が変わると正解も変わりますね」
学び直しの1年目を経て、2年目にしてようやく、前職で培ったスキルを生かして、自分らしく働けるようになった。
「アナウンサーをしていると、会話がうまく回るようにうまく話を振ったり、その場に合わせた言葉選びをしたり、空気を読むことやコミュニケーション能力が身につきます。このスキルは転職してからも、会議での議論を活性化したり、取材対応、社外の方に業務を説明したりする際に生きているんです。前職では当たり前だったことが私の強みだと気がついたので、そこに新しく獲得したスキルを掛け合わせたら、私のオリジナリティが確立できるんじゃないかと」
今年、大木さんは会社の福利厚生を利用して、8月は勤務時間を半分に抑え、子供たちと過ごす時間を増やした。
「2人の子供たちは小学生なので、一緒にいる時間を大切にしたいと思っています。今年は休暇を使って子供たちとクルーズ旅行をしました。働き方の選択肢が増えたのも転職したからこそ。新しい環境に挑戦して良かったなと感じています」