中村智昭
やっぱりレコード屋は楽しいですね。目移りしちゃう。
鶴谷聡平
良い盤あるかな(笑)。
松島大介
なんか出会えそうでワクワクしますよね。今は、サブスクリプションで新譜とも出会えるし、お店でもサブスクのプレイリストから流すことができる。でも、レコードをかけている店で音楽を聴くと、曲が記憶に残りますよね。
中村
体験として残るんじゃないですかね。僕が選曲する際は新旧問わず、お客様が聴いたことがないであろう音楽をかけることを強く意識してます。そのために自分自身にも新鮮に響く音楽を常に探していて。だからこそ、中古レコード屋へもよく行きます。
鶴谷
僕はレコード屋も多いけど、人に聞くのが多いかな。前に渋谷の古着屋さんで、めちゃくちゃかっこいいロックがかかっていて、店員さんに尋ねてみると「サブライムという西海岸のバンドです」と教えてくれて。気になったら話してみるのは、情報収集するうえで大切だよね。能動的に行動すること、それはある意味で、レコード屋にもつながってる。自分で棚を端から端まで見て自分から出会いに行く感じ。
中村
ラジオを聴く機会も配信アプリのおかげで増えました。ピーター・バラカンさんや松浦俊夫さんのラジオは発見に満ちています。
松島
今は情報収集の方法が多すぎですね(笑)。ちなみにサブスクは使ってますか?
中村
巨大な試聴機として重宝しています。新作のリリースは圧倒的に早い。けれど、一方でいい作品と出会えたら、すぐにアナログ盤を探して買います。〈Bar Music〉においてはBGMが隣り合う席との壁となるくらいの音環境が理想なんですが、そうした状況をレコードの音色で作れた時が、音楽の素晴らしさが伝わる実感があるんです。
新譜はお店によって入荷時期や価格に違いがあるので、できるだけ国内で在庫がある〈JET SET〉や〈HMV〉、〈Lighthouse Records〉などのお店。それでも手に入らない場合は、世界中の在庫が検索できるウェブサイトの「Discogs」を使います。
松島
僕の場合、お2人とは少し違い、信頼している人に最初は任せちゃう。例えばお店を開いた時は、渋谷の〈JBS〉のご店主が、100枚くらいくれたり、今では懇意にさせていただいている原宿の〈BIGLOVE RECORDS〉の仲真史さんへ「うちに合いそうなレコードを選んでください」とお願いしてたりしてるんです。
信頼できる人が選んだ音楽なら、それをもとにレコード屋に行って、さらに自分の音楽を広げていける。特に〈BIG LOVE RECORDS〉は、独自の流通を開拓してて、世界でそこでしか手に入らないものも多い。海外から来るお客さんも多いみたいですね。
鶴谷
僕は中学生の頃から、常に聞いたこともないような刺激的な音楽を求めていて、お店の選曲にもその意識は流れています。自分のものも、お店用のものも、よく買いに行くのは渋谷や新宿の〈ディスクユニオン〉。未知の盤に出会うために必要なのは、物量と回転数(笑)。都心のユニオンは補充の頻度が抜群に高いので、重宝してます。
中村
僕もお店に入ったら、最新入荷のコーナーへ直行します。しかも、ここ数年はもっぱらランニング姿で(笑)。目的地をレコード屋さんに設定する、その名も「Dig Run」と勝手に名づけていて、結果掘る回数は増えました。こうしたルーティンがあるからこそ未知の音楽との出会いも続いていると思っています。