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ドキュメンタリー好き・長崎訓子(イラストレーター)、忘れられないあのシーン。『消えた16㎜フィルム』

ドキュメンタリー好き、イラストレーター・長崎訓子さんが「忘れられない、あのシーン」について語ります。

Illstration: Ryo Ishibashi / Text: Keiko Kamijo

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若き才能が集まって
自主映画を撮影しているシーン

10代で何かを作りたい衝動がある女子(だけじゃない全人類ですね)って、年上の“クリエイティブな男性”に惹かれてしまう。そういう構図はいつの時代にもありますよね。ハラスメントとして、その復讐のために告発する作品もあるかもしれない。

でも、この映画を観ていると、誰かを糾弾する感じでもなく、起きた出来事を丁寧に取材して客観的に見つめ直し、青春時代の美談にすることなく、謎を謎のままに提示している。不思議な風合いの作品です。

『消えた16㎜フィルム』

また、この映画に登場する自主映画『Shirkers』の撮影風景や、彼女たちが図書館のコピー機で作っていた映画雑誌、当時の日記、手紙などが手作り感のある映像で挟み込まれているんですが、その熱量の半端なさは感動ものです。

映画は劇中でも「雰囲気だけで作られた」と言われているけど、そこもいいですよね、自主映画らしくて。このフィルムが完成していないっていうところも夢があります。

今は仕事上、ある意味ジョージの立場になりましたが、若い才能とやる気を搾取するだけのオジサンには気をつけて!という意味も込めて、もの作りをする若者に観てもらいたいです。

『消えた16㎜フィルム』イメージイラスト

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