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フィレンツェの香りの文化を届けたい。心を揺さぶる〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉のPR術

多くの共感を集めた企業の担当者に聞く、思いを伝える秘訣とは?これまでPRとどのように向き合ってきたのか、〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉マーケティング・マネージャー、稲垣元気さんに尋ねた。

photo: Wataru Kitao / text: Shoko Yoshida

フィレンツェの華やかな香りの文化を届けたい

ひとたび店内に入れば、洗練された空間とロマンティックな香りに魅了される〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉。1221年に誕生した世界最古の薬局といわれ、イタリア・フィレンツェの修道院がルーツのブランドだが、その豊かな歴史と言葉で表現しづらい香りをどう伝えているのか?マーケティング・マネージャーの稲垣元気さんに尋ねた。

「大切にしているのは、記憶に残る“体験”です。店頭では、特注のショーケースや、薬局時代に薬を薄める水差しとして使われていた鮮やかな絵柄の陶器などを飾って、フィレンツェの文化を感じられる空間にしつつも、自由に気軽に、香りを試せる状態でお客様をお出迎えします。

店頭以外でも、劇場やホテルといった、ブランドとの親和性が高いパートナー企業先での露出を増やすなど、さまざまな生活のワンシーンで香りを体験できる機会を増やすようにしています」

顧客に来てもらうのを待つのではなく、積極的に出会いに行く。その姿勢で、2024年はこんなPR活動を行ったという。

「特に印象に残っている活動が2つあります。一つは、新作オードパルファム『ジャルディーニ メディチェイ』の発表を、イタリア大使館で行ったこと。ルネサンス時代の貴族であるメディチ家が庭園で栽培していた植物に由来した香りなので、庭園のある大使館でお披露目することにしたのです。イタリア本場の空気感が漂い、コンセプトとリンクした場所でイベントを行えたことで、新作とブランドの魅力を堪能していただけたと思います」

「ジャルディーニ メディチェイ」の香水ローンチイベントの様子
イタリア大使館の庭園で新作香水のお披露目
2024年3月にイタリア大使館の庭園で行われた製品「ジャルディーニ メディチェイ」の香水ローンチイベント。本のようなパッケージデザインは、19世紀のカタログ装丁を再現。

「そしてもう一つは、ブランドのフレグランスコレクションから着想を得たアフタヌーンティーセットを〈フォーシーズンズホテル東京大手町〉で振る舞ったこと。主に、ブランド認知に伸びしろがあると考えている若年層女性へのアプローチを図った新しい挑戦でした。

なので、スイーツでブランドの優雅さを感じていただく以外に、香水のミニサンプルや、香水にお名前や記念日を刻印できるチケットをお渡ししたり、実際に店舗に誘(いざな)う工夫をちりばめました。プレスリリース作成時には、ホテル側からの校正もあり、外部とのコミュニケーションで客観的な視野も広げられた、貴重な機会でした」

サンタ・マリア・ノヴェッラがフォーシーズンズホテル東京大手町と共同企画したアフタヌーンティー
ブランドのフレグランスをアフタヌーンティーに
2024年10月~11月末に〈フォーシーズンズホテル東京大手町〉と共同企画したアフタヌーンティー。長く愛される定番と新作の香水の世界観をスイーツとセイボリーで表現した。写真提供:フォーシーズンズホテル東京大手町

ブランドと共鳴するラグジュアリーな場を生かしたPR。既存の顧客や、実際にアフタヌーンティーを体験した本国のベテラン社員からも「世界観を素敵に表現してくれてありがとう」と反響が多く寄せられた。

「異業種の方々とご一緒する際は、互いに歩み寄りながらも双方の核となる部分を大切に、新たな輝きを届けられる企画を目指しています。私たちが伝えるべきは、800年を超える伝統と、繊細で華やかなフィレンツェの世界観。それが、このブランドを長年愛してくださる方々への一番の恩返しだと思って、すべてのPRに打ち込んでいます。今後も保守的になりすぎず、まだ見ぬ場所での取り組みに挑戦したいです」

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