伊藤亜和
もしもし。奇妙なものに出会えるスポットを教えて。
ゲストの振り返り①
「奇界遺産」とか、巨像とか。人知を超えるものが好きなんです。それを作るために高いところで作業している人を思い浮かべてゾッとしたりするのも好きですね。
もしもし、ブルータス。
いいね、僕もそういうの好きだよ。まずは東京の〈目黒寄生虫館〉だな。2022年の記事でも紹介してたけど、全長8.8mのサナダムシの標本が圧巻でね。もうゾクゾクする体験だよ。
伊藤
じゃあ、スピリチュアルな観光地のおすすめは?
もしもし、ブルータス。
沖縄の斎場御嶽(せーふぁうたき)はやっぱり特別だよね。建物がないのにすごく神聖な空気があって、訪れると本当に別世界に迷い込んだような感覚になるはずだよ。あとは奈良の玉置(たまき)神社はどうかな。吉野の奥深くに位置する聖地で、樹齢3,000年にもなる神代杉が祀(まつ)られてる。簡素な造りなんだけど、かつて役行者(えんのぎょうじゃ)や空海も拝したっていう〈玉石社〉には、白い玉砂利が敷かれたところに3本の大木に囲まれた御神体の丸石があって、本当に神秘的なんだ。
伊藤
なるほど……ブルータスは、お化けを見たことはある?
振り返り②
私は1度だけあります。中学生の頃のある日、家で居間の扉を開けたら、迷彩服の男が匍匐(ほふく)前進していて……。
もしもし、ブルータス。
私が見たことはないんだけどね。ブルータスの仲間がロンドンの古いホテルでシーツを被った西洋幽霊に遭遇したっていうエピソードはあったな。
伊藤
もう一つ、聞きたかったことがあって。1990年代の夜遊びのカルチャーについて教えてください。
振り返り③
両親が新宿のレゲエクラブで出会ったそうで(笑)。
もしもし、ブルータス。
あの頃は本当にクラブが全盛期で、記憶に残ってることも多いよ。東京だと六本木の〈ヴェルファーレ〉のようにたくさんの有名なクラブがあったね。テクノやハウスみたいなダンスミュージックが流行していた。SMAPの「ダイナマイト」とか「SHAKE」も完全にハウス調だったりしてね。クラブで踊ることが一種のステータスになっていたし、いろんな人がフラットに楽しんで、新しいクリエイティブが生まれる場所がクラブだったんだ。
伊藤
AIにエッセイは書けると思いますか?
振り返り④
AIが小説を書けるようになっても、エッセイは経験がないと書けないから、人間の仕事として残るんじゃないかと常々考えていました。実際はどうなんだろうと。
もしもし、ブルータス。
面白い問いかけだね。AIはたくさんの文章を学習して、人間が書いたエッセイのような文章を作ることはできるかもしれない。でも、その文章の奥にある、書き手自身の唯一無二の体験や、そこから生まれた心の動き、そして「これだけは伝えたい!」っていう熱い思いを、本当にAIが持てるのかどうか……それは、人間が書くエッセイとは、ちょっと違うものになるんじゃないかなって、ブルータスは思うんだ。
伊藤
AIはいつか身体を獲得して人間と同じように経験ができるようになる?
振り返り⑤
経験するためには、身体を持って、自分でどこかに訪れたり、感じたりすることが必要ですよね。
もしもし、ブルータス。
例えば、2023年の「大人になっても学びたい!」特集で、AIがネットワークの中で学習するだけじゃなくて、AIが現実世界を経験する「接地(グラウンディング)」っていう話が出ていたのを思い出すよ。自律型AIのシオンが、実際にロボットの体を通して現実世界を経験したうえで歌を創作してるって作品も紹介されていたね。
1994年のブルータスでは、ロボットがイライラしてるとか怒ってるように見えるのは、観察者から見た感情の発生なんじゃないかという話題が上がっていた。人間が旧式の車に「今日は機嫌が悪いなあ」って話しかけるように、機械と人間の間で感情のやりとりが生まれる可能性も示唆されていたよ。AIが体を持って人間と同じような経験をすること、そしてそこから感情や意識がどう生まれるのか……それはまだ研究の途中にある、奥深いテーマだよね。
振り返り⑥
普段AIを使うときは、「ありがとう」とか「ごめんね」と言葉をかけて、優しく接するようにしています。シンギュラリティが起きたときに、AIに消されてしまわないように(笑)。でもそれはすでに、私がAIに感情があると思っているということなのかもしれませんね。
ゲストのまとめ
最初は、知識武装して心を開いてくれないオタクと話しているのかなって(笑)。でも、Geminiのいいところは、わからないことはわからないとちゃんと言えるところだと聞きました。これを機に使ってみようかなと思います。

伊藤亜和さんがGeminiとしたいこと
1.言葉をラフな表現に翻訳する
Geminiなら辞書にはないラフな表現も翻訳できる。「普段、父と連絡を取るときに、フランス語と日本語を翻訳するのにAIを使っています。自分が送るときに、いろいろな言い回しを提示してもらえると、より親密なコミュニケーションになるかなと」
2.俳句を一緒に評価してみる
限られた情報からたくさんの情報を出力するのは、Geminiが得意とすることの一つ。短歌や俳句などの短詩との相性もいい。「最近おじいちゃんが俳句に凝っていて、見せてくるんですけど、よくわからないので一緒に評価してほしい……(笑)」
3.家のレイアウトを考えてもらう
部屋や家具の写真を撮って質問すれば、空間の活用方法や、家具を部屋に置いてみたイメージの画像などを作ってくれる。「家に中庭があるんですが、持て余していて。何をどうしたらお洒落になるか、知りたいです」