カリモク家具から生まれた〈MAS〉や飛騨産業〈kei〉のデザインディレクション、資生堂〈BAUM〉のパッケージデザインを筆頭に、数多くの家具やプロダクトのデザインを手がけている熊野亘さん。「留学先のフィンランドとも通じる穏やかな雰囲気に惹かれた」という自然豊かな長野県北佐久郡に自宅を構えたのは、7年前のこと。
現在は、教鞭を執る武蔵野美術大学の授業のために月曜から水曜までは東京に滞在し、木曜から日曜にかけてを自宅で過ごすのが1週間のルーティンだ。北佐久郡では、ご家族と生活する母屋の隣に建てた別棟を、日々の仕事に向き合うスタジオとしている。
「だいたい9時〜18時頃までを仕事に集中する時間にしていて、それ以外は家族と過ごしたり、ジムに行ったりしています。北佐久郡には週の半分しかいられないので、できるだけプライベートの時間を持つのは心がけていることですね。スタジオは母屋からはたった数歩の距離ですが、一度外に出て、階段を上がって、と移動している間に、自然と気持ちが切り替わるんです。メリハリをつけて仕事に向き合えているなと感じます」
求めるのは、感覚的に使える道具のようなPC
熊野さんの多岐にわたる仕事において、当然ながらPCは必須アイテム。メールのやりとりやプレゼンテーション資料の作成、オンラインミーティング等に用いるのはもちろんだが、特にパフォーマンスの高さが必要になるのは、一連のデザイン作業の後半部分を担うデータ化の場面だ。
「家具やプロダクトをデザインするときは、スケッチに始まり、続いて木やスタイロで模型を作ります。椅子を例に挙げると、背もたれのカーブや座面の高さ、幅などは、まずは今までの経験の蓄積から編み出される基本的な数値があります。でも、イージーチェアなのか、オフィスチェアなのかなど、目的によって求められる座り心地は異なりますよね。感覚的な部分を調整するために、実際に手を動かして、体感しながら形にしてみるんです。そして、僕の場合はメーカーと協業して量産する仕事をしているので、それらをデータ化して図面や3Dデータに起こす必要がある。その局面でPCのパフォーマンスが鍵を握ります」
デジタルに移行しての作業は主に、イラストレーターやライノセラスといったソフトを使って進められる。その際にPCに求めるのは「感覚的に使えること」だという。
「操作性が良かったり、反応が速かったり。木工で使うノミやカンナの延長線上にあるようなものとして、手の感覚を極力ダイレクトに媒介してくれるものであればいいなと。実際に、近年はデジタル切削加工機やAIも発達し、これまで人の手に委ねてきた感覚的な部分を、デジタルが補助できる領域も広がってきました。ただしそれは、感覚を置き換えるというより、支える存在として、という意味合いが強いですね。PCやAIはあくまでも“道具”の一つ。人が日々触れる生活のプロダクトを作る上では、アナログな感覚もやはり欠かせません。僕自身は、デジタルとアナログ、その両方を行き来しながら使い分けることを大切にしています」

ローカルAIによって、“手馴染み”が良くなっていく
今回、初めて日本HPの「HP OmniBook 7 Aero 13 AI PC」を手にした熊野さんいわく、「軽さに驚いた」とのこと。重さは約970gと極めて軽量ながら、外装にはリサイクルアルミニウムやオーシャンバウンド・プラスチックが用いられており、頑丈であることが持ち味だ。
「東京と北佐久郡の行き来もそうですが、自宅からスタジオ、大学の中では研究室から教室へ、など、日々とにかく移動が多いんです。持ち運びに適した軽さと、場所や状況の変化に耐えうるタフさは、僕にとってはありがたい点ですね」
さらに、クラウド上ではなくデバイス上に搭載されている、HPが提供する独自のAIサービスも、このPCの醍醐味。Copilotキーを押すだけで起動することができ、「まさに道具のように、どんどん“手馴染み”が良くなっていきそうなツールですね」と熊野さん。
「使うにつれて学習して、パーソナライズされていくということですよね。長く使って、相棒のような存在になっていってほしいなと思います。アシストしてもらいたいのは、やっぱりデータの部分でしょうか。椅子のような家具は、安全性の担保も肝心です。どんな使われ方をするかによって必要な強度は異なり、僕らデザイナーも調べますし、メーカーも強度検査を行います。でもいざ実物を使ってみると、どうしても予想外の事態が起きることがあるんですよね。これらは大きなデータに則れば予防できることだと思うので、AIに必要な数値をサジェストしてもらえるようになったら、僕自身は自由なアイデアでデザインの部分に集中できるし、結果的により安全で質の良いプロダクトが出来上がるんじゃないかなと思います」
また、日本各地はもとより、欧米の家具メーカーとのやりとりも多い熊野さんにとって、リモート環境での会議も日常茶飯事。AI機能を活用した高機能カメラソフトウェア「Poly Camera Pro」も大いに活躍しそうだ。高品質な映像を維持し、AI処理に特化して設計されたプロセッサNPUを活用することで、長時間の会議でもPCの性能低下やバッテリー持続時間への影響を最小限に抑えることができる。「相手の表情が分かったり、即時的に反応しあえたり、対面での会議に近い感覚で使えるのはありがたいですね。ことリモート会議に関しては、議事録をとってもらったり、海外との時差を踏まえた日程調整などにもAIが活用できそうだなと思っています」

あくまでも、自分自身の感覚を手放さないこと
日々の細々としたストレスを軽減してくれたり、クリエイションのアシストをしてくれたり。幅広い活躍が期待できるAI PCだが、「頼りきりになるのではなく、どう使うかを考え続けることが大事だと思う」と熊野さん。最後にこう続けた。
「テクノロジーは今後もますます発達していきますが、逆行するように自分の感覚を頼りに手を動かす機会は減っていきます。だからこそデザイナーとしては、まずは体験、体感することありきで、その上でデジタルをうまく活用できることが大事になると思うんです。一方で、大学でデジタルネイティブ世代の学生と関わっているなかで希望を感じるのは、彼らは案外手を動かすことを大切にしているなということ。最終的なクオリティを上げるために、どこでデジタルを活用すべきか、頭を使いながら向き合っている。その姿には僕も刺激を受けますし、僕自身も、テクノロジーの恩恵を受けながらも、自分の感覚は絶えず研ぎ澄ましていきたいなと思っています」
一人ひとりが持つ感性や感覚を最大化する良き相棒として。AI PCは、さまざまなクリエイションに携わる人の仕事を、そして多様なライフスタイルを持つ人たちの生活に寄り添ってくれそうだ。





