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パリ・オペラ座発コンテンポラリーダンス『PLAY』に夢中① ~俳優・綾瀬はるかの場合~

清楚なイメージの一方、数々のアクションもこなすことで知られる綾瀬はるかさん。大好きな街、パリの中でも憧れの場所だったオペラ座で、話題のコンテンポラリーダンス「PLAY」を観劇する機会を得た。持ち前の運動神経を大いに刺激されたというその演目についてレビューしてもらった。

Photo: Alexandre Tabaste / text: BRUTUS

私、鬼ごっことか、かくれんぼとか、缶蹴りとか大好きな子供だったんですよ。男子に混じって放課後にやっているような、自由でわんぱくに走り回っていた子供だったんです。でも大人になると、そこまで体を動かすことってほぼないじゃないですか。だから、第一幕から「私も参加したい!」って思い始めちゃって。そんな感覚を呼び覚ましてくれる舞台でした。

綾瀬はるか
ナポレオン三世の命で、1875年に竣工したガルニエ宮。ネオ・バロック様式で、大理石をふんだんに使った豪華絢爛な大階段にて。

今回初めて、パリ・ガルニエ宮で観劇したんです。エントランスを入るとスケールの大きな吹き抜けに、石造りの階段や彫刻があって、歴史を感じさせる圧倒的な空間なんですよ。開演前には煌びやかに着飾った人たちが会話を楽しんでいたりして。そんな場所で撮影ができたのも嬉しかったですね。実はオペラ座で観劇する前に、目の前の「Café de la Paix」で優雅にフランスのカフェ文化を味わうという一連の流れも経験したんです。ちょうどクリスマスの時期だったこともあって、街の雰囲気も含めすべてが特別な体験でした。

綾瀬はるか
観劇前の期待が高まる瞬間。バルコニー席専用のエントランス前で。

「PLAY」はバルコニーの最前列の真ん中で観ることができたのですが、まず幕が開いた瞬間、オペラ座のステージの広さや奥行きに驚きましたね。ステージよりもちょっと視点が上にあるから、舞台奥の1段高いところにいるオーケストラまでよく見渡せました。

信じられない量の緑の球が、これでもかと上から降ってくるシーンはものすごく印象的でした。本来、オーケストラがいるはずの客席と舞台の間のオーケストラピットが舞台の一部になっていて、そこに緑のボールのプールが現れて、それがすごくキレイだったんです。ステージ上に溢れた緑のボールをプールに掃き出すシーンがあるのですが、波打つ緑のボールの海の中を動き回るダンサーたちの姿がとにかく美しくて。

舞台『PLAY』
綾瀬さんが遊び心を刺激されたという緑のプール。©︎Benoîte Fanton/OnP

テニスラケットのようなもので客席に向かってボールを打つ人がいたり、緑の球のプールで遊んでいる人がいたり。「あぁ~、私も演者になって緑のプールにダイブしたい!」って、すごく遊び心を刺激されました。客席を風船が飛び回るラストのシーンも壮観でしたね。バルコニーから手を伸ばして、なんとか触りたかったのですが、残念ながら手が届きませんでした。1階席を見たらお年寄りや着飾ったご夫婦とかも立ち上がって、嬉々として風船を触ろうと手を出しているんですよ。次に見るときは絶対に1階だなって思いました。

オペラ座内の至るところに、歴史を物語るオブジェがある。装飾画家で舞台装置などを手がけたジャン・ベラン三世(1637-1711)の彫刻の横で。

第二幕は大人の世界でしたね。オフィスで働く人を表現しているのでしょう。グレーと白で統一されたユニフォームで規律よく動くダンサーたち。現代的でプレタポルテのような衣装で統一されていて。クラシックバレエとはまったく違う、シンプルでリアルな、すごくおしゃれな世界観でした。メインダンサーの人だけは、緑色のメッシュの衣装を着ていて、筋肉の動きが透けて見えるんですよね。その美しさが際立っていて、ため息が出ました。

舞台『PLAY』
第二幕では大人の世界が描かれる。統率された世界観を表現するグレーを基調とした衣装もまた美しい。©︎Benoîte Fanton/OnP

ほかに印象的だったのは宇宙のシーン。音はまるで宇宙空間を想像させる響きで、スペーシーな世界に引きずり込まれたような気分でした。そこにフワッと広がったドレスのスカートを履いた男性が現れるんです。それがなぜか宇宙空間をより克明に表現しているような気がして、すごくカッコよかったんです。オフィスも宇宙も結局はファンタジーの世界なんですよね。コンテンポラリーダンスは即興性があって、理解を超えたところで成立しているので、国籍や年齢は関係なしに、それぞれの解釈で楽しめると思いました。

でも、やっぱり一番見てもらいたいのはダンサーの動き。手足の先端から頭のてっぺんまで、筋肉や関節、骨の動きまでを熟知してコントロールしていると思います。自分の身体の隅々まで張り巡らされた神経に意思が行き渡っているんでしょう。それは訓練の賜物だと思うんですが、あそこまで動かせたら楽しいだろうなって思いながら観ていました。私もお仕事でアクションを演じることがあります。だからセリフがある演技と違って、もっと動物的にその役を演じているのだと思いました。身体で表現するから、頭で思考することを超えたその先に、役と一体になれる感覚があるんですよね。繰り返し同じ動きを練習して、意識と一体化するまで身体に染み込ませるんです。それがすごく高いレベルでなされているんだと思います。ぜひその辺りも注目してもらいたいです。

綾瀬はるか
オペラ座の大きな吹き抜けのバルコニーで。正面に見えるのがエントランス。

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