フェイクが生み出すリアル。写真家・RKの映し出す世界

photo: RK / text&edit: Naoko Sasaki

“What I see vs What my camera sees”。写真家のRKがInstagramに記した言葉は、目で見る風景とレンズを通した世界の違いを端的に表している。フォロワー数は76.5万。その写真の魅力とは?

Share

独特の色彩、距離と大きさとの整合性、情報量の多さと密集感。RKがInstagramにアップする作品は、日常の風景に潜む「違和感」に目を止めずにはいられない。見たことあるような、でもどこか違うという感覚。まずは下の写真から話を聞いた。

台湾の松山空港近くで距離感の面白さを望遠レンズで捉えたもの。この企画のためにエディットし、新しい作品に仕上げた。

「実は、レタッチだらけです。2018年に撮影した写真と昨年再撮したものを組み合わせています。飛行機の機種、色彩トーン、手前の信号待ちの人々まで、瞬間と組み合わせの面白さを求めてリエディットしました。

ただし撮影方法はあくまでも泥くさく、地道に。飛行機が通るであろう上空の真下の建物にピントを合わせて、ひたすら飛行機を待つ。この場所は台湾のおじいちゃんのブログから見つけました。伝統的な寺院があり、通りの間から飛行機が顔を出すエリアはここしかないんです」

商店街から望む富士山の写真は、2〜3年通い、撮り続けてようやくSNSにアップ。現在この場所は撮影スポットになっているという。

富士山の一枚は偶然通りかかって見つけた景色を突き詰めたもの。

「綺麗だな、すごいなと思ったときに、じゃあこの状況の何が特別なのかを追求する。天候もあるし、行っても富士山が見えないこともある。もう、“絶対に撮ってやる”という気持ちだけで(笑)。2〜3年かかってます」

仕上げはすべてエフェクトとデジタル処理。でも撮影には時間も手間も惜しまない。このバランスがRKの写真を作り上げている。

ところで、六本木のクラブDJ→食品トレー工場勤務→AVのパッケージデザイナーと、RKは少々変わった経歴を持つ。

「デスクワークで太ったので(笑)ランニングチームに入ったところ、“iPhoneで写真撮ってよ”と頼まれて専属フォトグラファーに。そこから少しずつ写真の仕事が入りだして、2016年にミラーレス一眼レフに切り替えました」

iPhoneで撮影していた頃は、今とは正反対の作風だったという。

「ミニマルなモノクロームの世界が好きだったので、コントラストの浅いおしゃれな写真を目指していました。でも、たまたま秋葉原で、狭い場所に山ほど商品を置いた店のおじちゃんを見つけて。写真をアップしたらいいね!がめっちゃ増えた。広角レンズで空間を凝縮し、コントラストを強めた一枚。これを転機にシリーズ化しました。

同じく反響の多かった台湾の通勤ラッシュの写真は300mぐらい手前から100〜400mmの望遠で。レンズは違いますがどちらも密集感とパンフォーカスが特徴。大事なのは、自分なりの、見たことのない画角を見つけることと、そのためのベストな撮影ポイントを妥協なく探すことです」

台北大橋の通勤ラッシュ。有名な撮影スポットを、望遠レンズで縦の画角で切り取り、パンフォーカスで独自の圧縮効果を表現。

フォロワーのリアクションによって、自分のスタイルの模索を続けてきたRK。写真とSNSはほぼ同義語のようだ。

「写真一枚で自分の名前が世界中に広がった。しかも短期間で。今の時代ならではですよね。独学でやってきた自分にとって、師匠はフォロワーの方々だと思っています。僕の写真は、好きな人が見てくれればそれでいい。“綺麗”“かっこいい”という率直な感情を大切にしたいので、色も変えるし、空に星を付け足すこともある。もちろん、これらは万人受けする、消費される写真。

だから自分をアーティストとも思っていません。フォトショップなんて言語道断とフェイクをよしとしない昔ながらの価値観ももちろん理解はできる。でも、どうだっていい。DJをアナログでやるかデータでやるか、それだけの話。踊るのはオーディエンス。気持ちよく踊れたらいいじゃん、それがDJでしょ?」