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現代写真の礎を築いた名写真家。新たな表現に挑戦した3名

写真家・大森克己、写真評論家・タカザワケンジ、そしてアート系ブックショップ、NADiffの書籍バイヤー・館野帆乃花。水先案内人としてはこれ以上望み得ない3人が、現代写真の礎を築いた名写真家21名をセレクト。彼らの代表的写真集とともに紹介。ホンモノの写真は時空を超えて、観る者の心を捉えて離さないのです。

Photo: Ayumi Yamamoto(portraits), Kaori Ouchi(books) / Illustration: Ken Hamaguchi / Text: Kenji Takazawa / Edit: Kaz Yuzawa

新たな表現を求める写真家の創造力と想像力の賜物が、越境する写真表現だろう。逸脱を恐れずに一歩を踏み出したとき、初めて新たな表現の地平が広がるのだ。

Cindy Sherman(シンディ・シャーマン)

独り遊びから始まったコンセプチュアルなセルフィ。

1980年代を代表する現代美術と写真のスター/作家自身が演じる場面を撮影するステージド・フォト(演出写真)/複数の有名作品がミックスされたり、ぼんやりとした記憶の中にある場面を写真に定着/初期はマスメディアが描く女性のステレオタイプを表現/次第に異形の者や歴史的絵画へと対象を広げる/できるだけ作家独りで制作。

Jonas Mekas(ジョナス・メカス)

日記映画の中の出会いをスチルに切り出した映画作家。

プライベートな日常を淡々と綴った日記映画の巨匠/ニュー・アメリカン・シネマの庇護者/フィルム・アメリカン・コーポラティブ呼びかけ人/16ミリ映画のフィルムから切り出した「写真」をプリント/作家自身は「フローズン・フィルム・フレームズ」と呼んだコマ撮りをしていたから可能になった「写真と映画のあいだ」。

Thomas Ruff(トーマス・ルフ)

写真を撮るのではなく、写真について考えることが作品。

少年時代は天体少年だった/師匠はタイポロジーのベッヒャー夫妻/「ポートレート」ではプリントを被写体の何倍も大きな巨大プリントに/「ポートレート」をモンタージュ写真作成機にかけて合成した作品も/新聞写真や天体写真、ネット上の写真など「自分で撮らない」写真を作品に/写真とは何か?という問いは全作品に共通。