体感重量を減らす構造が、軽やかな背負い心地の鍵
広告や雑誌で活躍する写真家、大辻隆広さんの長男はもうすぐ小学生。この日は〈+CEL〉のランドセルを背負って、通学の予行練習へ。
教科書にノート、iPad、そして体操着や上履き。学用品が入ったランドセルは、大人の通勤バッグよりも重そうだ。小さな背中を思うときっと多くの親が、できるだけ快適に背負えるランドセルを選びたい、と考えるのではないだろうか。写真家・大辻隆広さんもそのひとり。
「ランドセルを選ぶときは、軽さを重視しました。入学説明会ではリュック通学も可という話がありましたが、実際はほとんどの子が、高学年になってもランドセルで通っているんですよね。やはり使いやすくて、理にかなっているんだと思います」
〈+CEL〉のランドセルは、重量が約1200g。快適さの鍵はこの軽さだけではない。ポイントとなるのが、自然と重心が高い位置に保たれる構造。山登りのリュックも、重いものを上に詰めた方がラクに背負えるもの。ランドセルは重心が上にくる構造にすることで、体感重量を軽減することができる。初めてランドセルを背負い外に出た大辻さんの長男も、軽快な足取りで歩いていた。
ランドセルを背負っている姿を見て気付くのが、背中とランドセルがぴたりと密着していること。この“密着性”も、ランドセルの背負いやすさを決定づける大きなポイントだ。〈+CEL〉のランドセルは、2種のクッションを組み合わせることで柔らかさと密着性を高め、負荷を分散させるから、体感重量が軽くなる。生地の裁断、ミシンがけ、鋲打ちなど、ほとんどの工程は職人の手作業によるもの。6年間使える丈夫さと背負い心地の良さは、熟練の技術があってこそだ。そのために選び抜かれたパーツの数は250以上にも及ぶ。
子供たちへの優しさを体現したデザイン
ブランド名の〈+CEL〉は、表計算のマス目に由来する。また、cell(細胞)の語源である“小さな部屋”という意味も。無限の可能性を秘めた小さなものを表現した名前には、小学校6年間で成長し、世界を広げていく子供たちにそっと寄り添う存在でありたいという思いが込められている。
その優しさは、デザインにも表れている。象徴的なのが、“かぶせ”と呼ばれるランドセルのフタ裏に施された、1月に逝去した染色家・柚木沙弥郎さんの作品。「あかつき」「よろこび」「のぞみ」「きぼう」、かぶせ裏のデザインは全部で4パターン。それぞれに、子供だけでなく大人にも向けた、柚木さんからのエールが込められている。日々何度も開け閉めするランドセル。目にするたびに心が温まるような優しい色と柄は、子供たちの学校生活に彩りを添えてくれそうだ。