街の隅々まで満喫せよ!大阪で時間が余った時の過ごし方19選

photo: Issei Negama, Yuto Yamamoto, Nagisa Nishijima, Roman, Hanako Kimura, Jotaro Sakashita / text: Yuki Nishikawa, Roman, Ai Kiyabu / text&edit: Atsushi Takeuchi

大阪人はケチだ、せっかちだなんて揶揄されがちだけど、ぼやぼやしていては時間がもったいない!という気持ちが強いのは確か。「時間つぶし」なんて言葉じゃ惜しいくらい目いっぱい楽しまな。何分空いてる?30分?60分?120分?よっしゃまかしとき!

初出:BRUTUS No.911「大阪の正解」(2020年3月1日発売)

Share

大阪で30分余った時の過ごし方

通天閣(新今宮)

大阪のランドマーク〈通天閣〉の屋上階に屋外展望台「TIP THE TSUTENKAKU」。その仕様は、地上92.5mの建物外にステージを増設した跳ね出し型で、壁面は金網、最先端部分の床はスケルトンと、スリル満点。が、恐怖を超えて辿り着いた先にある開放感と眺望は最高だ。

屋外展望台への入場は1回で2名まで。スタッフに頼めば、自身のスマホで記念撮影もしてくれる。スカート、ヒールなどの着用は禁止ゆえ、来場時はご注意を。

gallery, あるゐは(天満橋)

大川のほとり、話題の店が続々オープンしてすっかり注目エリアとなった南天満に、2020年1月に誕生した〈gallery, あるゐは〉。開店に向けて15年来、店主の大室友子さんがリストアップしてきた作家の器、オブジェ、アクセサリーが集められている。

近隣にアトリエを構える金工作家の器や、はるばる直談判したフランスやポルトガルの作家ものなど。大室さんから作家の話を聞く時間も楽しい。物販中心の1階に対して、2階はギャラリー空間に。

YOKSOKSOURSTAND(なんば)

道頓堀にありそうでなかった、高層階のDJバーが2020年1月にオープン。扉を開くと全面がガラス張りで、窓際のカウンター席からは道頓堀の絶景ビューが一望のもとに!DJブース側へ足を運ぶと、なんば駅のターミナル側の眺望も。

ちなみに、ドリンクはハッサクやイチゴなどの季節のフルーツサワーや大阪のクラフトビールと、盤石の布陣。DJバーながらフロアは禁煙、平日はチャージなしと、サクッと一杯使いもできる仕様で立ち寄りやすい。

阪急古書のまち(梅田

1975年の誕生以来、多くの読書家に愛されてきた古書店街〈阪急古書のまち〉。専門書を取り扱う個性豊かな8軒が並び、店頭のショーウィンドウには貴重な古書がずらり。入店すると江戸時代の和書、美術図録、演劇、哲学、思想、考古学など、知的好奇心をくすぐるあらゆるジャンルに出会える。

現存する大阪最古の古本屋〈杉本梁江堂〉や、〈阪急古書のまち〉の発起人である〈中尾松泉堂書店〉など、脈々と受け継がれる大阪の古本文化に触れてみよう。

マヅラ(梅田

終戦後の1947年、闇市で15坪ほどの小さな店舗を構えたことから始まり、70年の大阪駅前ビル建設に合わせて、〈マヅラ〉も駅前第1ビルへと移ってきた。当時、月面着陸で街の話題だった宇宙をテーマに造られたという、オープン当時から変わらない内装は必見。

メニューには、300円のホットコーヒーにハムトーストと、純喫茶らしい品が並ぶ。生けるパワースポットこと、マスター劉盛森さんに会えたらラッキーだ。

VODKA connecting people(肥後橋

表向きはセレクトショップだが、店の中へと歩を進めると巨大な全自動の刺繍機が姿を現す。聞けば「刺繍屋だった祖父の遺志を継ぐべく大枚をはたいて手に入れた」と、店主の近澤惇さん。持ち込んだ衣料品に施す刺繍は、既存のフォントからのチョイスならワンポイント500円からオーダー可能。

およそ10㎝四方のサイズであれば30分でオーダーから刺繍まで終えられる。写真やオリジナルフォント、イラストなどの刺繍は、店主に相談で。

YEANAY(梅田

〈NO CONTROL AIR〉は、「問いかけ」がキーワードの大阪発のユニセックスブランド。そのデザイナーが選び抜いたセレクトショップ〈YEANAY〉には、ホウキ、石のオブジェなどユニークな雑貨やコンテンポラリージュエリーが洋服に交じって配置され、宝探し気分。

ヴィンテージ時計のレーベル〈古拙〉も19年末立ち上がり、1930年代からの腕時計が約150本並ぶ。

大阪環状線(大阪~天王寺~大阪

中心部が比較的コンパクトなサイズで、それでいて隣り合う町の個性がまるで違うところが大阪の特徴の一つ。そんな大阪を目の当たりにできるのが大阪環状線だ。中心部をぐるっと巡り、その沿線には大阪城や大阪ドームといった名所もあるが、駅前の商店街や酒場にこそ、大阪のリアルが息づいている。

駅ホームからすでに焼肉の匂い漂う鶴橋駅がよく知られているが、野田、京橋、天満、桃谷、西九条……気の向いた駅で降りて駅前散策もおすすめ。

gallery yolcha(中崎町

梅田から徒歩10分とは思えない、登録有形文化財に指定された長屋群の中に〈gallery yolcha〉がある。奥行き1間(約1.8m)ほどの小さな小屋。その内部には、ハシゴを上がって辿り着く屋根裏の展示スペースが設けられ、間近でじっくりアート作品と対峙できる。

不定期に展覧会が開かれる展示空間のほかに、体をケアする予約制のサロン、カフェカウンターまで備え、極小スペースの豊かな可能性に驚かされる。なおヨルチャとは韓国語で「列車」の意。

大阪で60分余った時の過ごし方

こども本の森 中之島(なにわ橋

スケッチ/大阪市提供

「本を通して豊かな感性を育んでほしい」と、安藤忠雄が子供たちのために設計・寄贈した文化施設が、2020年3月1日、中之島公園内にオープン。名誉館長は山中伸弥、クリエイティブディレクターは〈BACH〉の幅允孝が務める注目の新施設だ。

扱う本は、絵本や児童文学、図鑑など児童向けだが、大人も入館可。3フロアにわたる巨大な本棚は生い茂る森の木々で、大階段はまるで根っこのよう。建築を堪能しつつ、久しぶりに児童書と向き合う時間を。

阪堺電車(天王寺駅前~浜寺駅前/恵美須町〜我孫子道

大阪市と堺を結ぶ阪堺電車。全区間は約18kmと短いが、近隣住民の大切な足として日々活躍する。カラフルな1両編成の車窓からの眺めには、観光地とは違う大阪の暮らしを感じる下町風情が。

路線の「住吉駅」や「御陵前駅」からは徒歩圏内に1800年以上の歴史を有するパワースポット住吉大社や世界遺産に登録された仁徳天皇陵古墳があり、歴史巡りにももってこい。運が良ければ定期運行する国内現役最古の昭和3(1928)年製造の車両に乗れるかも!

新梅田食道街(梅田

新しいフードコートが次々とできる梅田にあって、JR高架下で1950年から続く、今や梅田最古参ともいえる食堂街が健在。その店舗数は約100店。立ち飲みカウンターだけという数坪の小さな店も少なくないが、おでんの〈たこ梅〉、お好み焼きの〈きじ〉など各ジャンルの名店の支店も揃っている。

なお、食堂街ではなく食道街の名の由来は、狭い通路に店が並ぶ様子から。先代がその命名者という、1950年創業時からのバー〈北京〉も元気に営業中。

ハルカス300(天王寺

日本一の高さ300mを誇る超高層ビル〈あべのハルカス〉。その最上階に設けられた展望台は、「今さら展望台なんて」と思っている人こそ訪れてほしい場所。1フロアではなく、3フロア吹き抜けの構造になっているため、観覧者の立つ60階だけが空に浮かんでいるような錯覚を覚えるほどの浮遊感が味わえる。

さらに、建物自体が大阪平野を見下ろす上町台地の上で、周りに高層ビルも少ない立地だから、360度の眺望で大阪の隅々まで見渡せる。

天山閣ハイハイ横丁(上本町

上本町駅から直結の商業施設〈上本町HiHiTOWN〉。その地下飲食店街に店を構える大衆酒場〈天山閣ハイハイ横丁〉は、全長およそ30mの日本一長いというカウンターで、キャパは40席の超横長設計だ。

いでたちのインパクトはもちろんだが、生中300円やウイスキー300円と、安価で楽しめるうえに、ジューシーなマグロのしそ巻揚げや滋味深い小芋煮……とアテも充実。酒場の手練れが集うスポットゆえに、ここで界隈の飲み屋情報を聞き出すのもおすすめ。

司馬遼太郎記念館(八戸ノ里

今なお多くの人を魅了する小説家・司馬遼太郎。その自宅に隣接して記念館が建てられている。記念館の設計は安藤忠雄。館内には、自宅にある6万冊の蔵書をイメージして造られた大書架が。高さ11mの吹き抜け空間に2万冊の蔵書を展示する存在感は圧巻だ。

また、自宅の書斎は窓越しに覗くことしかできないが、生前のままに残されている。雑木林が茂る庭を望めるように配されたデスクの上には、万年筆や色鉛筆が今も無造作に置かれ生前を偲ばせる。

御舟かもめ(天満橋/なんば

川とともに商業の街として栄えてきた水の都・大阪を巡る〈御舟かもめ〉のリバークルーズ。定員10名の小さな遊覧船は、大きなクッションで床座という家のようなくつろぎスタイルと、船長の和やかなガイドが魅力。

昼は中之島の名建築や大阪城、夜はネオンきらめく道頓堀やライトアップされた中之島の中央公会堂が楽しめる約50分のコースの中には、大阪の歴史と文化を感じる名所が点在。米粉のおやきや野菜・果物が付いた朝ごはんクルーズも運航中。

大阪で120分余った時の過ごし方

万博記念公園(生きているミュージアム ニフレル

水族館と動物園と美術館が融合したミュージアム〈ニフレル〉。“感性にふれる”をコンセプトに、生き物との新たな触れ合い体験ができる8つのゾーンの一つ「うごきにふれる」ゾーンでは、ケープペンギンやカピバラ、ワオキツネザルなどの愛らしい小動物を檻や柵もなく展示。夕方以降は夜行性のカピバラが通路を元気に散歩する姿に遭遇することも。

国立国際美術館(中之島

国立美術館の中で唯一、現代美術を中心に収集する〈国立国際美術館〉。ウォーホルやジャコメッティ、リヒター、横尾忠則、杉本博司など、戦後の国内外の名作を中心に約8,000点所蔵し、作品を入れ替えながらコレクション展で紹介。さらに、海外作家の大規模個展や同時代作家を集めた展覧会などの企画展も見応えあり。

建物は、建築家シーザー・ペリによる設計。地上部分に入口があり、地下に展示スペースが広がる「完全地下型」というのも珍しい。

なんばグランド花月(なんば

“笑いの殿堂”と称される吉本興業の名物劇場は、なんと1987年のオープンから、365日年中無休で営業中!大阪人なら誰もが知る吉本新喜劇をはじめ、幅広い世代のお笑い芸人が出演する本劇場。大御所からTVで活躍する若手までが日替わりで登場。大阪が“笑いの本場”とはよくいわれるが、吉本の総本山は想像以上!