PR
7月に日本初上陸決定!パリ・オペラ座で話題騒然、アレクサンダー・エクマンの『PLAY』がやって来る!
パリ・オペラ座の話題作が新国立劇場に初登場!

パリ・オペラ座といえば、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、ウィーンなどと並び称される由緒ある歌劇場。2017年ガルニエ宮で初演された「PLAY」は、いわゆるクラシックバレエとは一線画す、奇想天外なコンテンポラリーダンスで話題となった演目だ。その最新作が2024年12月から2025年1月までの期間、再演された。
2024年パリ・パラリンピック開会式でも演出・振付の監督を務め、世界の注目を集めたスウェーデン出身の振付家・アレクサンダー・エクマンが生み出した演目で、振付、舞台、衣装を担当している。踊るのはもちろん、パリ・オペラ座バレエ団のダンサーたち。伝統ある舞台上に6万個もの緑の玉が降ってきたり、観客を巻き込んで繰り広げられるエネルギッシュなパフォーマンスが特徴だ。
そして、この7月に日本に「PLAY」がやってくることが発表された。ここでは、アレクサンダー・エクマンのインタビュー、パリ・ガルニエ宮で上演された最新作を観てきたという5人の「PLAY」スペシャルパートナーによるプレビューをお届けしたいと思う。
「PLAY」とは
「PLAY」は大人になるとだんだん薄れていってしまう“遊び心”について、気付きを与えてくれるプログラムだ。舞台は2部構成で、前半の第一幕では子供時代の自然な“遊び”を表現したストーリーや動きで、エネルギーと“遊び”が溢れたステージ。第二幕になると状況は一変し、統率されたルーティンな大人たちの世界が表現されている。舞台上ではさまざまな舞台装置や大道具、小道具が入り混じり、舞台いっぱいに動き回る43名のダンサーたちが“遊び心”を目一杯表現する。観るものは驚きと歓喜に満ちていて、いつの間にか「PLAY」の世界観に引きずり込まれる。気付くと老若男女関係なく、席から立ち上がって無邪気に遊んでしまうような驚きの演出を、ぜひ体感して欲しい。
Interview

アレクサンダー・エクマン(振付家)
創作過程は“遊び”のセッションの連続でした。
パリ・オペラ座からの招聘で新作を依頼されて、「PLAY」は2017年に初演となりました。最初にアイデアを伝えたときも、「6万個のボールを降らせるの? もちろん大丈夫だよ」とすぐに理解してくれて。普通なら難しいはずですが、パリ・オペラ座はどこよりも芸術に理解があるのです。再演することで、時間の経過とともに色褪せたり今の大変な時世とのズレが生じるのではないかと心配でしたが、“遊び”は時代を超越する不変的な欲求だと確信しました。困難な世の中だからこそ、“遊び”が重要なのです。
私はいつも多くの人が共感できるテーマを探しています。子供のときは遊ぶことがあれだけ楽しめたのに、大人になるにつれて誰かに「おーい、こっちに来て遊ぼうよ」と言われるとなぜかドキッとして、ぎこちなくなってしまう。こうして、大人になって“遊び”が縁遠くなる現象を話し合うきっかけを作りたかったのです。そして“遊び”と“加齢”の関係もおもしろいと思っています。両親を見ている、歳をとると、いい意味で人生に対して、いい加減でいいんだと、素直に“遊び”と向き合いやすくなる気がします。私自身も歳を重ねて少しずつ実感しているので、今回の再演には個人的な歩みを再演にあたって反映をさせてみました。
“遊び”のパワーが際立つのが、緑のボールのシーンです。あれだけのボールが降ると、雨のような自然現象に見えますよね。初めてボールを舞台に降らせた時、最初は真剣に仕事をしていた技術スタッフが、あまりにも奇想天外な光景を見て自制がきかなくなり、本気で遊びだしていて。また、驚かせることで、観客をそれぞれの日常から引き離す効果があります。ボールをどの色にするのかは、相当時間をかけて悩みました。最終的に緑にしたのは、私が緑が好きですし、“自然”の色だから。そして作品を代表する色となりました。
オーケストラピットのところまでフロアを広げてダンサーたちと観客の距離を縮めるのが好みで、演奏者は観客から見えた方がいいと思っています。音楽担当のミカエル・カーソンは15作品ぐらい一緒に作ってきましたが、彼との共同作業は楽しいもので、「この音いいよね」と思えるサウンドを選び、二人で組み合わせていきます。音と言えば、冒頭のダンサーのステップとマイクで床を叩く音が呼応するシーン。創作過程はいわゆる“遊び”のセッションがあり、これもダンサーたちがマイクで適当に遊んでいたら、生まれてきたのです。
角のかぶりものですが、クラシックバレエでも角の生えた生き物は定番で、一度やってみたかったのです。人間ではない違う生き物を装う演技、動物に変身するのは、数ある“遊び”の中でも醍醐味のひとつでもあるので。今回、多くの角を使うためにヘルメットが必要になりました。そういう強さの象徴である角の防具をつけた女性が、トゥで立ったしなやかな体との組み合わせによる、独特の美しさを表現したいと思い、そんな女性像を通じて、いつもとは違う手法で官能美を作りたかったのです。
私がみなさんに届けたいのは、第二幕にも出てくるアラン・ワッツのメッセージに尽きます。それは、我々は人生を巡礼のように捉えがちで、指定の場所に辿りつくこと自体を目的としてしまう場合が多い。人生をミュージカルに例えるなら、音楽が鳴っているうちに踊ったり歌ったりするべきだと、楽しく過ごすことが大事だと言っています。悩みがある時は、音楽をかけて数時間は忘れて、あまり深く思い詰めないことも必要だと私たちに呼びかけているのです。
日本公演が7月に開催されるのは、すごくうれしいです。東京にしか行ったことがなく、時間ができたら、電車に乗って遠い田舎に訪れてみたいと思っています。自然が感じられる北陸とか、京都も緑が多いと聞いているので行ってみたいですね。また日本の文化が大好きですし、日本の社会にはとても興味があるので、観客のみなさんがこの作品をどのように受け止めてもらえるかも気になります。日本の美意識なら、きっと理解してもらえるはずです。ぜひ日本のみなさんに「PLAY」の魅力に触れてほしいです!
photo:Alexandre Tabaste
Review from Paris
7月に日本上陸予定の「PLAY」をパリで観てきたという5人の日本公演のスペシャルパートナーたち。舞台でも活躍する俳優陣からは綾瀬はるかさん、石橋静河さん、そして柄本時生さんと渡辺大知さん。そしてパリオリンピック金メダリストのブレイクダンサーAMIさん。アレクサンダー・エクマンのクリエーションを体感し、感動した後に5人が口を揃えていうのは「生のステージを観るべき」ということ。そして、やっぱり誰かに勧めたくなるのです。

綾瀬はるかさん(俳優)
私、鬼ごっことか、かくれんぼとか、缶蹴りとか大好きな子供だったんですよ。男子に混じって放課後にやっているような、自由でわんぱくに走り回っていた子供だったんです。でも大人になると、そこまで体を動かすことってほぼないじゃないですか。だから、第一幕から「私も参加したい!」って思い始めちゃって。そんな感覚を呼び覚ましてくれる舞台でした。
記事を読む
石橋静河さん(俳優)
やはり「PLAY」を堪能するには、自分の身体を劇場に持っていくのがいちばん。ダンサーたちの熱気や息遣い、シネマのような音楽に包まれる感覚、プラットフォームで演奏する演奏家たちの姿などは、体験しないとわからないと思いました。
記事を読む
柄本時生・渡辺大知さん(俳優)
やっぱりアレキサンダー・エクマンのセンスに圧倒されたというか、なるほどそう来たか、みたいな場面が矢継ぎ早に現れて、驚きを超えて笑っちゃうんですよ。(柄本)
観る前に勝手に想像してたイメージが、もう一瞬で吹き飛ばされてしまって、身を任せようと思った。絶対素晴らしいものが観られるっていう確信を得た時に、その興奮を時生くんと共有できたのが嬉しかったですね。二人でずっと笑っちゃってましたから。(渡辺)

AMIさん(ブレイクダンサー)
舞台上で同時にいろんなことが起こるので、二幕ある約2時間のステージが本当にあっという間で。満足度が高いのに、見終わった直後に、すぐにもう一回観たいと思いました!