ごめん、ごめん。いいの、いいの
後免行きの電車と、伊野行きの電車がごっつんことぶつかりました。後免行きの電車は「ごめん、ごめん」と言いました。伊野行きの電車は「いいの、いいの」と言いました。……これ、私が子供の頃に好きだった、高知の路面電車の(しかもかなりローカルな)お話です。
ただこれだけの話なのに、電車同士の会話がおもしろくて、従姉のお姉さんに「えーっ、またあの話をするの」と嫌がられながらも、繰り返し話してもらった記憶があります。そう、高知市内には東西南北を十字に走る路面電車があって、その東西の終点の駅が「後免町」と「伊野」という、なんともユニークな名前なのです。
その高知の街を外国の電車が走っていると聞いたのはかれこれ何年前になるのかな。市内に住む妹がその頃の高知の最新情報として教えてくれたのだけど、それを聞いても「どうして外国の電車?」という疑問はまったく浮かばず、土佐っ子は変わったことが好きだから、なんて勝手な解釈をしていたのですが、本当のところはどうなの?と、今回「とでん」こと土佐電気鉄道株式会社に伺ってみることに。
「“世界の電車”計画は、平成元(1989)年に社長のアイデアで始まったものです。というのも、当時はマイカーブームで、世間では電車の線路を邪魔だと見る風潮もあり、ここでひとつ“路面電車ここにあり!”という機運を盛り上げるために企画されたんです」。ふうむ、土佐の人はロマンがあるというか、考えることがまっこと大きいきねえ(なぜか急に土佐弁)と、妙に納得する私。
現在「とでん」が所有する外国の電車は4台。で、実際に街中を走っているのは、オーストリアの元グラーツ市電と、ノルウェーの元オスロ市電の2台なんだそう。
では早速、街を走る電車に会いに行ってまいります。ゴ〜。