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“大泉洋史上最高にカッコいい男”。映画『室町無頼』で挑んだのは民衆のヒーロー

映画『室町無頼』で大泉洋が扮した蓮田兵衛は武士でありながら室町幕府に歯向かい、民衆を率いて一揆を起こす剣の達人。誰もに愛される魅力的なキャラクターは、どうやって誕生したのか。

photo: Wakana Baba / hair&make: Yoshito Shiraishi(ima.) / styling: Kyu(Yolken) / text: Yusuke Monma

きっかけはあのときプロデューサーが言った一言

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源“頼朝”に扮した大泉洋が、新たな時代劇で演じるのは“無頼”───。主演する映画『室町無頼』は、応仁の乱前夜の京都で、横暴な幕府に戦いを挑む無頼漢の物語。「頼朝さんは権力側の人間で、ヒールな一面もありましたが、今回は権力に抗(あらが)い民衆に寄り添う役。頼朝さんと違い、みんなに愛される役柄ですよね」。

プロデューサーの当初の要望は、“大泉洋史上最高にカッコいい男を演じてほしい”だったとか。「そうそう、あれは2017年のことだったんじゃないかな?」。彼が本作の経緯を振り返った。

誰もが惚れる魅力的な主人公・蓮田兵衛を演じることになったきっかけは、2017年に出演した舞台『子供の事情』にまで遡る。

大泉洋

三谷幸喜さん作・演出の舞台で、素晴らしく面白い作品だったんです。そのときの僕の役柄が、すごく頭の長い人でね。稽古中に突然、「このヅラを被ってください」と言われて、見るからに面白いんですよ。しかも最後に“チンゲさん”という昔のあだ名がバレて、みんなに泣いて謝る役。

ところがその舞台を観た、映画『探偵はBARにいる』シリーズの須藤泰司プロデューサーが、「僕らの大泉洋をこんなふうにされたら困る」って(笑)。いや、須藤さんも舞台を楽しんでくれましたよ。でも「僕が大泉さんにやってもらいたい役は違う」と言って、持ってきてくれた企画が『室町無頼』だったんです。

『室町無頼』
監督:入江悠/出演:大泉洋、堤真一ほか/直木賞作家・垣根涼介の原作を映像化。武士階級として初めて一揆を起こし、歴史書にただ1度だけその名を残す男・蓮田兵衛の戦いを描く。1月17日、丸の内 TOEIほかで全国公開。

───それが“大泉洋史上最高にカッコいい男を演じてほしい”の真意だった、と。

大泉

ありがたかったですね、チンゲさんを演じたあとでしたから(笑)。ただ兵衛さんという役柄は、僕に持ってくるにはなかなかの冒険というか。たしかに人懐っこい部分は自分にもあるキャラクターだけど、兵衛さんみたいに強くないのでね、僕は。

───剣の達人役ということで、大泉さんは激しい殺陣(たて)やアクションに挑戦しています。

大泉

映像作品での立ち回りはほとんど経験がなかったので、撮影前に一から教えてくださいとお願いしたら、アクション部の方に木刀を渡されて、「じゃあまず素振り100回」って(笑)。そのペースだとクランクインの前に体が壊れてしまいそうだったので、ゆっくり練習するしかなかったですね。

───そのアクションも含め、きちんと“カッコいい男”になれましたか?

大泉

ええ、魅力的な人物として描いてもらいましたね。民衆のため幕府と戦った兵衛さんは、やっぱりヒーローなんだと思いますよ。