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焼く、煮る、炒めるの焚火3段活用レシピ。〈noyama〉の食いしんぼうキャンプ

自然が好きでフィールドで顔を合わせているうち、アウトドアユニット〈noyama〉を結成。食べることが大好きな女性4人組。料理、写真、木工、ビール担当(?)と、それぞれの得意分野が結集したnoyamaのキャンプには、いつもおいしいご飯があふれている。

初出:BRUTUS No.732『キャンプしようよ』(2012年5月15日発売)

photo: Kasane Nogawa / text: Chisa Nishinoiri

ご飯はキャンプの主役。自宅の食卓をそのまま外へ!

毎回、なにかしらのテーマを設けてキャンプをしているという、noyamaの面々。今回は、ガスバーナーなどはあえて使わずに、自然の素材の焚火だけで料理を楽しむレシピを提案してくれた。「全員“酒好き”なので、基本的にいつも酒のつまみ的なメニューになってしまうんですけど(笑)、飲みつつ、作りつつ、食べつつ!っていうのが楽しいんですよね」と、山戸さん。

アウトドア系イベントなどへの出店も多いので、新作メニューの試食の場になることも多いのだとか。今回作った「緑のホットサンド」もその一つ。「味つけは薄いかしら?」「ワインにも合う大人の味だね!」「ペーストの色みも良い感じ」など、思い思いの感想でメニューをブラッシュアップ。家で食べるのとは、ひと味もふた味も違って感じるから不思議だ。自然の中に身を置いて、焚火を囲んでいるだけで、ついついお酒もすすみます。

飯盒で米を炊く様子
noyamaのキャンプでは、いつも焚火が大活躍。手際よく火をおこすのは、“料理人”山戸さんの担当。石で囲んだかまどで炭をおこし、直火焼きや鉄板料理の調理用に。奥の焚火台では、薪をくべる。ゆっくりとよく燃える堅木の薪で、ほどよい火加減をキープする。

自然の中に身を置くと、火の偉大さを痛感する。寒い時には暖を取り、日没後にはあたりを柔らかな光で包み、なにより、食材をおいしい料理に変えてくれる。火があれば、人間は大自然の中でも快適に過ごすことができる。炭と薪、2種類の火から森の中に広げられたnoyamaの豊かな食卓を見ていると、火を操る者は食を征するのだな、と改めて感じる。

「アウトドアだからって、特別な道具を揃える必要はないと思う。料理に関していえば、家で作るのも外で作るのも変わらないんです。家の食卓をそのまま外へ持っていく感覚」と、山戸さんは言う。

noyamaにとって、外であること=非日常なのではない。自然を舞台にみんなのアイデアを少しずつ持ち寄って、一つのものを作り上げるということを楽しんでいるのだ。自分たちで火をおこすから、一つ一つの行為がいつもより少しだけ丁寧になり、限られた材料と道具だけで生活するから、本当に必要なものが見えてくる。遊びとクリエイションの両立を地で行く彼女たち。

緑のホットサンド、トムヤムホタテ、チキン×ジャガイモ×クレソンの鉄板焼、アメリカン・レモネード

例えば、キャンプ場に広げられたキッチン台やスツールは、木工アーティストのしみずさんによるオリジナル。調味料やキッチン道具は、整理しやすいように箱に収納しスタッキングして持ち出す。屋外では、便利な調理台へと変身。山戸さんが座るシンプルなスツールは、乳搾りの時に使われていたミルクスツールをヒントに作った作品。座面に持ち手が付いて運びやすい。ありそうでなかった道具たちは、どれも自分たちが心地よく使えるようにデザインされている。

料理家、写真家、木工アーティスト、編集者という肩書を持つ彼女たち。ちょっとやそっとのモノでは満足しないから、noyamaのキャンプ道具には4人の美意識とキャンプに対する哲学がカタチとなって表れる。

「でも実態は、焚火を囲んでひたすらアホ話してるような、ただの酒好きですよ(笑)。自然観とか食の趣味、楽しいと思う感性が似ているのかもしれない。そのバランス感覚が、noyamaの良いところかな」と、髙橋さん。よく考え、よく働き、よく飲み、よく食べ、よく遊ぶ!一見ガーリーな4人組だけど、その心意気は実はとても男前なのだ。

緑のホットサンド

緑のホットサンド

【材料】
ホタテの缶詰

エリンギ
チンゲンサイ
ヤングコーン
パイマックルー
カー
レモングラス
テンサイ糖

ナンプラー

【作り方】
1:ホットサンドメーカーの内側にオリーブオイルを塗る。
2:パンにジェノベーゼソースを塗り、そのほかの具をのせてもう一枚のパンでサンドする。
3:ホットサンドメーカーに入れて蓋を閉め、中火で焦がさないようにひっくり返しながら焼く。

*大葉ジェノベーゼソース
材料/大葉、ホウレンソウ、オリーブオイル、ミックスナッツ、塩、コショウ
作り方/ホウレンソウは軽くゆで、全ての材料をミキサーにかけてなめらかなペーストにする。

トムヤムホタテ

トムヤムホタテ

【材料】
ホタテの缶詰

エリンギ
チンゲンサイ
ヤングコーン
パイマックルー
カー
レモングラス
テンサイ糖

ナンプラー

作り方】
1:鍋に水とホタテの缶詰、パイマックルー、カー、レモングラスとチンゲンサイの茎の部分を入れて火にかける。
2:ホタテのだしがよく出てきたら調味料で味を調え、残りの材料を加えてさっと煮る。

鉄板焼き2種

チキン×ジャガイモ×クレソンの鉄板焼

チキン×ジャガイモ×クレソン

材料】
鶏胸肉
ジャガイモ
クレソン
ニンニク
オリーブオイル

コショウ


【作り方】
1:鶏胸肉には塩・コショウを振ってしばらく置く。
2:よく熱した鉄板にオリーブオイルを引き、ニンニクと(1)の鶏肉とジャガイモを並べて焼く。
3:完全に火が通ったら最後に上にクレソンをのせ、さっと炒め合わせて塩・コショウで味を調える。

ウド×シメジ×菜の花

【材料】
ウド
シメジ
菜の花
ニンニク
オリーブオイル

コショウ
醤油

【作り方】
1:よく熱した鉄板にオリーブオイルを引き、ニンニクとウドとシメジを並べて焼く(ニンニクは焦げやすいので途中でウドの上に置くとよい)。
2:ウドにほどよく火が通ったら菜の花を上にのせ炒め合わせる。醤油と塩・コショウで味を調える。

写真家・野川かさね、木工アーティスト・しみずまゆこ、料理研究家・山戸ユカ、編集者・髙橋紡
左から/野川かさね、しみずまゆこ、山戸ユカ、髙橋紡。