農産物もパッケージデザイン は大事
生産者がWebで直接農作物を販売するようになり、パッケージデザインを意識する農家も増えてきた。
「うちは観光地で販売しているので、お土産らしいデザインに変えたらよく売れるようになりました。地方発送の段ボールは昭和感が漂った昔のデザインなのですが、そちらはあえて変えず、田舎のおばあちゃんから届く感じを演出しています」(コッティ)
「優れたパッケージは自分の野菜を売ってくれる優秀な営業マンを1人雇うようなもの。プロのデザイナーに頼んでいます」(つるちゃん)
ウェアは見た目より断然 機能性!
ウェアは何を重視して選ぶのか尋ねると、「断然、機能性!」と即答。
「おしゃれはみじんも考えていません!(笑)」(コッティ)
ワークマンなど専門店で揃える農家も多く、“高級農家”にはモンベルなどのアウトドアブランドも人気だとか。
「専門店ではないですが、福岡では、僕やコッティを含めてユニクロ派が多いです。ジョガーパンツのクオリティが高くて、年中穿けるところもいい。上半身はエアリズムの半袖シャツ。冬になったらヒートテックとウルトラライトダウンを重ね着!」(つるちゃん)
甘味もいいけど
酸味・苦味 も味わって
スーパーで野菜や果物を選んでいても目につく、「糖度○度」という表示。糖度が高い=おいしいと思いがちだが、糖度至上主義には“待った”をかけたい。
「糖度が高いものを食べた瞬間は、感動します。糖度を上げるには技術が必要だから、農家にとってもやりがいがある。糖度が数値化されて消費者の目安になり、価格にも反映されるけど……」(つるちゃん)
「あるシェフに、甘味はあとから砂糖で足せるけど、酸味や香りは足せない。だから甘味より酸味や香りを重視した果物を作ってと言われたことがあります」(コッティ)
酸味や苦味の味わいが魅力的な農作物を聞いてみると、野菜では春菊、ツボミナ、クレソン、ケール、果物では完熟したスモモ(ソルダム)、イヨカンなどを挙げてくれた。甘味以外でも、作物ごとの個性も楽しんでみよう。
新・農家の必需品は
AirPods だ!
農作業中は、常に手足を動かし、目は農作物を見ている。しかし耳だけはずっと空いたままなので、ラジオやPodcast、音楽を聴く人も少なくない。となると必須アイテムはワイヤレスイヤホンということになる。
「ほかの作業員と連携して作業を行うので、周りの音が聞こえる方がいい時もあります。そこを重視したい人には耳をふさがない骨伝導タイプが人気ですね。逆に、トラクター作業など大きな音が出る時には、ノイズキャンセリング機能が欲しくなります」(つるちゃん)
つるちゃんのイチオシはAirPods Pro。ノイズキャンセリングと外部音取り込みモードがワンタッチで切り替えられて音も抜群、と周りの農家の間でも断トツの人気。
メルカリ で産直野菜を買う時代
生産者が自分で作った農作物を直接販売しようと思った時、今なら手軽に販売できるプラットフォームがたくさんある。生産者が直接出品できる「ポケットマルシェ」や、オンライン直売所の「食べチョク」が代表的だが、2021年7月末にプレオープンしたメルカリの「メルカリShops」にも農家の注目が集まっている。
「『メルカリShops』は法人で登録できるのが特徴。私の周りもどんどん登録しています。直販はお客さんの声が励みになるし、ニーズもわかります。販路探しのきっかけになるので活用しています」(コッティ)
「孫が就農」が増加中
農家に生まれた長男が、「俺は農業を継がない!」と家を飛び出していった、なんていう時代もかつてはあった。でも、最近はその子供たち(孫世代)が祖父母の後を継いで就農するケースが増えているという。
「祖父母が農業をやっていて、父が会社員になり、孫が就農する人が僕の周りでは増えています。生まれた時から不景気で、都市で就職しても稼げなそう。それなら地元で農業をしたいというような価値観の変化はあると思います」(つるちゃん)
血縁関係があると、「○○さんの孫ね!」と農家コミュニティに受け入れてもらいやすくなるのも強みとか。
農業Podcast に加え
農Tuber も増加中
YouTubeやPodcastで情報発信する農家が増えている。YouTuberではなく“農Tuber”と呼ぶそうだ。農作業中に聴けるので、農家に人気なのはPodcast。YouTubeは栽培方法を教える動画が多く、家庭菜園をしている人が主な視聴者とのこと。
コッティさんおすすめのPodcastは『女ひとり。新規就農radio』。その名の通り、一人で新規就農した女性の体験談で、就農に興味がある人に役立つ内容となっている。
つるちゃんおすすめのPodcastは『農ある鷹』。農業法人勤務の男性2人が農業トークを繰り広げ、農家とは違った視野の広さが刺激になるそうだ。YouTubeチャンネル『石原果樹園』はプロの現場を余すところなく披露していて、圧倒的なクオリティに農家として刺激を受けるという。
農業のこと、もっと知りたくなったら……
〈農文協 農業書センター〉
日本で唯一の農業書専門書店で、農業系出版社の農山漁村文化協会が運営。農業専門誌『現代農業』や、まちづくり総合誌『季刊地域』をはじめ、初心者からプロの農家まで納得の約3万冊の農業書籍を常備。2021年9月15日に移転先でリニューアルオープン。詳細はWebにて。