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日用品図鑑:デザインディレクター・川浪寛朗の愛用する〈AIRPULSE〉のA80 etc.

毎日使う相棒のような日用品には、その人らしさが表れている。アウトドアと都市生活の相互性をテーマに、プロダクトデザインから空間のディレクションまで幅広く活躍されている、デザインディレクター・川浪寛朗さんに、愛用している酒器、棚、仕事かばん、オーディオ(と、それで聴く音楽)を教えてもらいました。

text & photo: Hiroaki Kawanami / edit: Mami Wakao

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中里隆の焼き〆カップ

中里隆作の焼き〆コップ

若かりし頃、シチリアへの旅をご一緒させていただいた、唐津の陶芸家、中里隆先生の作品。デンマークのスケルツコーで作陶されたもの。

焼き締めのため、ビールを注ぐと無数の小さな穴によるきめ細かでクリーミーな泡を楽しめます。

作陶、旅、音楽に加えて、なにより料理とお酒を嗜まれる先生の暮らしの在り方を、慌ただしい日々の中で心に留めておくための道具でもあります。

シナ合板の棚

シナ合板の棚

今の家に引っ越すときに、大量の大型本を収めるために、壁面に下地を入れてもらい、既製品の金物とシナ合板の棚板であつらえたもの。

重量があるのに、下段が浮いているので掃除がしやすく、見た目にも軽い感じが気に入っています。スピーカーや照明の配線類も、棚板の裏で処理しています。

大量の本は一度は収まったはずなのですが、気づけばどんどん溢れてくるので、事務所に少しずつ、せっせと移動させています。

〈無印良品〉の肩の負担を軽くするナイロンリュックサック

〈無印良品〉の肩の負担を軽くするナイロンリュックサック

定番品のリュックサックに、特殊なシワ加工が施されたモデルです。

普段使いには、機能が表に出すぎたデザインが好みではないのですが、これはリュックサックの典型と言えるシンプルなデザインに、都会的なグレーの色味と、細かなシワによる独特の表情が加わり、“普通”なのにどこか特別な雰囲気があります。

日本式の“カイゼン”が繰り返された使い勝手も素晴らしいのですが、シワ加工のモデルは残念ながら廃盤のため、密かに復刻を願っています。

〈AIRPULSE〉のA80

〈Airpulse〉のA80

著名なスピーカーエンジニアのフィル・ジョーンズが設計したHi-Fiアクティブスピーカー。

書棚に自然と収まるオーソドックスな見た目とアンプ内臓のシンプルなシステムながら、ハッとするほど繊細で澄んだ音を鳴らしてくれます。音楽はもっぱらスマホですが、Bluetoothではもったいないので、より高音質なWifiオーディオレシーバーを介して接続しています。

お酒を飲んだ後、ソファの良いポジションで音楽を聴くのが日々のささやかな楽しみです。

このオーディオでよく聴く音楽

Park.Live/Sławek Jaskułke
ポーランドのピアニストによる地元の屋外庭園でのライブの録音アルバム。静かな夜にA80で流すと、美しい旋律と小鳥の鳴き声や子供の声などの環境音が響き合い、なんとも言えない空間になります。映像の方もため息が出るほど素晴らしいです。

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