2025年12月20日(土)・21日(日)の二日間にわたり、東京・鷹の台のギャラリー〈Dowel〉にて、「冥丁×菅原悳」の協演による『泉涌(せんにゅう)』の東京初公演が開催される。

日本の文化から徐々に失われつつある過去の雰囲気を「失日本」と呼び、“日本古来の印象”を現代的なサウンドテクニックで表現してきた冥丁(めいてい)。2018年にデビューアルバム『怪談』を発表して以来、アンビエント・ミュージックの文脈で、海外でも多くのファンを獲得してきた。

ただ、彼の曲を“アンビエント”というジャンルだけに収めるのは、実は適切ではない。エレクトロニック、アンビエント、ヒップホップ、エクスペリメンタルを融合させながら、さまざまな音を重ね合わせてコンセプチュアルな音楽を生み出している。

その最新作となるのが8月にリリースされた『泉涌』だ。温泉文化をテーマにした今作は、制作過程で大分県・別府市の温泉郡を巡回してフィールドレコーディングを実施。その深い聴取体験を楽曲の音の土台としている。

2025年8月にリリースされた最新作『泉涌』。国内流通盤CD3,300円、国内流通盤LP5,500円。本作品の制作過程や別府での滞在を記録した、冥丁初の写真集も同時リリース。

今回の公演では、『泉涌』という音楽題材の構成要素を紐解き、空間演出家である菅原悳の考察を交えた上で演奏される。また両日ともに、公演後には冥丁本人による作品の紹介、解説も予定している。冬がはじまって忙しなくなる師走の折、耳から“温泉文化の音色”に浸かり、心をほぐすひとときを過ごしたい。