『スター・ウォーズ』好きが集結して作り出した、プレミアムモデルのヘッドホンとイヤホン
4月18日から20日の3日間、幕張メッセで開催される〈スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025〉。その記念として、オーディオテクニカ社から『スター・ウォーズ』をモチーフにしたプレミアムモデルが、合計5種類発表される。
まず、ヘッドホン「ATH-AWSW DV」。ウッドハウジングの外側に、伝統技術である蒔絵でダース・ベイダーを施している。そして、イヤホンは、オーディオテクニカ社製の「ATH-CKS50TW2」をもとに、ダース・ベイダーやR2-D2、ドラマシリーズ『マンダロリアン』のディン・ジャリン、グローグーといった人気キャラクターを投影させた、4種類のスペシャルモデルを完成させた。
すべてのモデルには、細部にわたって『スター・ウォーズ』への溢れんばかりの愛情が注ぎ込まれており、デザインから起動音まで、今までなかったイヤーデバイスになっている。『スター・ウォーズ』マニアはもちろん、ガジェット愛好家からも注目が集まりそうだ。
丁寧かつ、マニアックなプロダクト制作プロジェクトに参加したオーディオテクニカ社の中村圭吾さん、永山優香さんに制作過程を聞いた。
中村圭吾
今から1年半ほど前の2023年に〈スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025〉の開催が決まった時にウォルト・ディズニー・ジャパン社からお声がけいただき、プレミアムモデルのプロジェクトが始動しました。ディズニー社とは、2021年のMARVELコラボでご一緒した経緯があり、継続的にいろいろとお話させていただいていました。
永山優香
わたしはもともと『スター・ウォーズ』の大ファンだったので、プロジェクトの話を聞いた時、とにかく嬉しくて(笑)。プロジェクトメンバーには、『スター・ウォーズ』に強い思い入れを持つメンバーが自然と集まりました。皆、それぞれの好きなキャラクターや作品への想いがあり、その熱量が企画の細部にも表れていると思います。
企画段階では、社内の『スター・ウォーズ』ファンを集めてヒアリングを重ねながら、アイデアを磨き上げていきました。会議などは、『スター・ウォーズ』ファンミーティングと呼んでいて(笑)。意見交換というより、どの話のどこが好きかなど、常に話が盛り上がって、すごく楽しかったですね。
中村
わたしは主にヘッドホン「ATH-AWSW DV」を担当していましたが、やはりダース・ベイダーというキャラクターが、現在でも根強い人気があることに驚きました。
永山
オーディオテクニカの社内的にもダース・ベイダーの人気がダントツ。
中村
不動の人気というか、1978年に日本公開された映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から新三部作、そしてアニメ作品など50年近い長い歴史の中でずっと出続けているキャラクターなので、シリーズの象徴的な存在なのではないでしょうか。
デザインにこだわりまくったイヤホンシリーズは、マニア心も直撃する
永山
まず、イヤホンに関して。オーディオテクニカのワイヤレスイヤホン「ATH-CKS50TW2」をベースにして、プレミアムモデルを作ることになったんです。デザイン的な部分の指針として、社内ファンミーティングでは、単にキャラクターをあしらうのではなく、手に取った瞬間にファン心をくすぐるような、所有すること自体に価値を感じられるようなプロダクトを作ろうということになりました。
ファンの心もくすぐりつつ、洗練されたデザインを思考し、その結果、イヤホンの本体に『スター・ウォーズ』の世界で用いられているオーラベッシュで、オーディオテクニカの社名を入れることになったんです。オーラベッシュの英語への変換表は、ネットにもありますのでご参照いただければと思います。文字自体がすごくスタイリッシュなんです。
中村
また『スター・ウォーズ』に登場する帝国軍や反乱同盟軍などのマークをオマージュに、オーラベッシュのAをマーク化し、本体にプリントしました。
永山
「ATH-CKS50TW2」は、ケース内では左右のイヤホンが磁石でくっついている状態で、一つずつに外すと電源が入るマグネティックスイッチを導入しています。左右のイヤホンを離して起動させると、本体の縁の部分に、ダース・ベイダー モデルは「The power of the dark side」、マンダロリアン モデルには「Mandalorian Bounty Hunter」など、各キャラクターを表すテキストも入れました。現在は、日常にイヤホンの存在がどんどん溶け込んでいて、ライフスタイルに馴染んでいるので、さりげないデザインを心掛けて。
中村
それはイヤホン本体を入れるケースにも、反映されています。
永山
マンダロリアン モデルには“This is the Way”、ダース・ベイダー モデルには“It is your destiny”、各キャラクターのセリフを入れました。ただ、あまり主張しすぎないよう、スケルトンのケースの裏側から鏡文字で印刷したんです。それからカラーリングは、グローグーの緑のカラーを出すことが非常に難しく、何度もテストを繰り返してようやく完成しました。
中村
一言でグリーンといっても100種類くらいあるんです(笑)。R2-D2モデルの白はもちろん、各モデルのカラーや塗装も、それぞれ何度もテストを繰り返しました。
ルーカスフィルム公認!劇中で使用された音声を、ボイスガイダンスとして採用

永山
デザインはもちろん、起動音などの音声も特別なものとなっています。電源オンとオフ、Bluetoothの接続と切断など、機能に付随した確認音の全てに、ルーカスフィルム公認の、劇中に使用した音声データをそのまま搭載することができました。個人的には、グローグーが乗っているホバリング・プラムのシャッター開閉音、ダース・ベイダーの呼吸音などが搭載できて、本当に嬉しかったです。
中村
R2-D2はロボットの音声なので、メカニカルな効果音と相性抜群でした。本当にかわいいんです。ただ「ATH-CKS50TW2」はフルチャージで、約25時間使用できるため、電池量が少なくなった時の警告音は丸一日使っていないと聞くことができないんですよね。
永山
デザインや音声などを含めて、すべてウォルト・ディズニー・ジャパン社と打ち合わせをし、何度もメールのラリーをしながら作り上げていきました。セリフや音声など、こちらからの提案もありましたが、ディズニー社、そしてルーカス・フィルムからのサジェスチョンもありました。確固とした『スター・ウォーズ』の世界観をリスペクトしながらも、こちら側のわがままも受け入れていただいたと思います。結果的に、素晴らしいプロダクトになった自負があり、大変感謝しています。
中村
ルーカス・フィルムのスタッフの方も気に入っていただいたようで、チーム一同、本当に喜んでおります。
『スター・ウォーズ』と伝統工芸、そしてオーディオテクニカの音響が融合した奇跡のヘッドホンが完成!

中村
ジェダイの持つライトセーバーや、その精神性を含め、日本は『スター・ウォーズ』シリーズにインスパイアを与えた、特別な場所です。〈スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025〉には、世界中からファンが訪れるので、せっかくなら何か特別なことをやりたいと考え、“本物の日本”を体験していただけるようなものを届けたいという思いから、伝統工芸の越前漆の蒔絵とヘッドホンを掛け合わせた製品の提案をしました。
BRUTUS
ダースベイダーの怖さとともに、悲しみや切なさもよく出ていますね。
中村
なんと蒔絵職人さんも、『スター・ウォーズ』の大ファンということで、話が弾んだんです。最初は板に描いてもらい、何度もトライしていただきました。写実的に書いてみると蒔絵の魅力が消えてしまうし、デフォルメが過ぎると『スター・ウォーズ』らしさが伝わらない。あらゆる方向のバランスを探りながら、落とし込んでいきました。木材に漆を塗り、蒔絵の技法で1回ずつ仕上げていく。仕上がりが、天候や気温、湿度によって変わりますから、販売台数は10台ですけど、一つとして同じものはないんです。このメイキング映像は〈スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025〉でも流す予定です。
イヤホン「ATH-CKS50TW2 DV/R2/GG/ML」は、4月18日から開催される〈スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025〉にて販売開始。その後、家電量販店などでの取り扱いもスタートする(「ATH-CKS50TW2 ML」は会場と公式オンラインのみなので要注意)。一方、ヘッドホン「ATH-AWSW DV」は、会場での販売のみなので参加が決まっているファンはぜひ実機を目にしてほしい。