パンツ専業ブランド〈ニート〉のデザイナー、西野大士さんが手がける新しいお店。自らのクローゼットをひっくり返したようなセレクトショップ〈N&N STORE〉を地元の淡路島にオープンさせた。
「ドレス、ワーク、スポーツといった垣根を設けないセレクトで、店内には〈ニート〉のオーダーサロンを併設しています。私の趣味全開の店になりました」というように、ショップコンセプトを知るには、店主の西野さんのスタイルに迫るのが早道だ。
「もともとアメトラが大好きで、その道に関わりたいと思い、2008年にブルックス ブラザーズ ジャパンに入社しました。退社した今も当時学んだスタイルが染みついています。
ただ、ブランドを離れて感じるのは、アメトラのバイブル的写真集『TAKE IVY』に載っている装いだけがすべてではないのかなと。アメトラファンの間でタブー視される、現代のスポーツウェアやアウトドアギアを組み合わせることは、私の中では全く違和感のないこと。むしろ、そうしないとコスプレに見えて自分らしくまとまらない」という考えがセレクトにも反映されている。
また、開店準備のため東京と淡路島を頻繁に行き来する中で、新たな気づきがあったそう。
「東京で過ごす格好のまま淡路島に来ると、何か違って、どこかコスプレっぽい。これはアメトラの装いに抱いていた感覚に近くて、その服装が最も合うのはやはり発祥の地。だから自分に馴染む服とは、住む環境のことを一番に考えた服だと思うんです。例えば淡路島なら、砂浜や山道を歩くのも日常のこと。バス釣りの聖地で、アクティビティが文化になっている。
こういった地域性を、生活に馴染みのいい機能服や、象徴的なグラフィックや色で表現できたら、同じトラッドでも淡路島に根ざす“アワトラ”になる。例えば、こんなコーディネート(以下の3体)とか。ここから発信していくことが、先の淡路島のカルチャーと言われるように、しっかりと根を張りたい」
トラッド×アクティビティが“アワトラ”の真髄
淡路島のルーツをグラフィックで楽しむ
スエットパーカとデニムを合わせて、ただラフな雰囲気を出しているわけではない。ドーメル社に別注したショップ限定生地で仕立てたダブルブレストジャケットは、よく見ると淡路島のシルエットが浮かび上がるハウンドトゥース風。バス釣りにまつわる、80sの〈バス・プロ・ショップス〉のパーカを合わせたのも、淡路島へのオマージュから。
異色なミックスも、この地ではスッと馴染む
“アワトラ”の肝は、アウトドアギア。〈ニート〉のスラックスに革ジャンを合わせた都会的なモノトーンスタイルを、鮮やかなブルーのナイロンパーカで味つけ。ちなみに〈N&N STORE〉では、〈ニート〉のパンツ10型(定番型は14サイズ)から受注可能。
自然の隣で過ごす、色柄選びがある
イエローのボーダーの上に、赤のストライプを重ねた派手な色柄合わせ。都会では少しひるみそうな着こなしも、緑が生い茂る山と真っ青な海が広がる淡路島では不思議とサラッと見える。足元は、コンクリートの路面から山道まで、どんなフィールドでも安心の〈サロモン〉のスニーカー。色柄も機能も淡路島での生活に馴染みのいいものをチョイスした。