トレーニングを重ね、表現力を極める作業棚
店のサインボードやロゴタイプ、グラフィックデザインを手がける、レターボーイことピーター・リエドベルグさん。都心の雑居ビルの一室にあるアトリエの内装は、インテリアデザイン会社、SLOPEによるもの。機能性を考え、はしご状の支柱にパーティクルボードを載せた棚もデザインしてもらった。棚の上には、エナメル塗料にアクリルウレタン、レザー用インキなど、用途別にさまざまなタイプの塗料が並んでいる。
「最初は紙の上でデザインを考えますが、実際にレタリングを施すのは建物の壁やショーウィンドウから、プロダクトまでと幅広く、素材もコンクリートから木材、金属、ガラスと、多岐にわたります。だから、いつ、どんな場所でもきちんと対応できるように、普段から多種多様な塗料を試しているんです」
塗料の横にはレタリングには関係なさそうな電気工具も見える。
「ガラスボトルに書くときに使うジュエリー用のリューターです。まずはこれで表面を薄く削り、その上をなぞるように筆でインクを乗せていくと、仕上がりがきれいなんです。ちょっとしたタッチの違いや筆の流れで、同じ文字でも違う印象を受けるもの。だからニュアンスを的確に表現するためのトレーニングは欠かせません」
棚からは、リエドベルグさんの日々の試行錯誤の一端が窺える。