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これが私の“山歩”道 Vol.2 久住昌之、龍崎翔子、小橋賢児etc.

山や身の回りの自然の中を気持ちよく歩くこと、それが“山歩(さんぽ)”。山はもちろん、郊外の緑地や街中の川辺まで。都会の喧騒を離れて息抜きができたり、その土地の歴史や文化について意外な発見があったり、おいしい水やおやつに出会えたり......今回は、心身共にリフレッシュできる、21の“山歩”道を紹介します。

現在、山の魅力を伝える特設サイト「Mt. BRUTUS」もオープン中!

illustration : Shinji Abe / text: Takuro Watanabe, Asuka Ochi, Ryota Mukai, Emi Fukushima, Koji Okano

南アルプスの絶景を眺めながら水を巡る山梨・小淵沢コース

教えてくれた人:上月太郎(〈CAMILOTA〉オーナー)

南アルプスの眺めも最高ですが、美しい水を巡るコースでもあります。日々歩いたり走ったりしていると季節の移ろいを間近に感じることができて、そのたびに感動しています。続けることによって発見できる美しさや心地よさがあるので、日常のルーティンとして山を歩く、走る時間を大切にしています。この土地は日本の原風景を堪能できるのも大きな魅力ですね。いつも眺めている甲斐駒ヶ岳の登山にはいつか挑戦したいです。

地形と音の変化を全身で感じる新鮮さと出会う京都・比叡山コース

教えてくれた人:龍崎翔子(ホテルプロデューサー)

毎年恒例で会社のメンバーと登るのが比叡山。山道に入ると街の喧騒が一気に消え、鳥の声と葉のこすれる音、自らの足音だけに包まれます。1時間ほど進むと尾根を歩く道になり、景色が開けることで街の音が再び聞こえるようになる。数時間で、地形の変化と音の変遷、そして自然を体感できるのは貴重ですね。運動不足の身には少々こたえるイベントですが、日頃自分が率いるチームにフォロワーとしてついていく経験も新鮮です。

自然界の神秘を感じ、自然と一体になれる京都・鞍馬山コース

教えてくれた人:小橋賢児(クリエイティブディレクター)

初めて鞍馬山に入った時に宇宙エネルギーを感じました。短い距離でも、良い“氣”をもらえて自然界の神秘と壮大さを感じられるコースなんです。登山では頂上を見ていると苦しいけれど、足元を見て一歩ずつ進むと自分と向き合えて自然と一体になる感覚があります。瞑想とも似ているし人生にも似ていて、目の前のことにフォーカスしていると想像を超えたところに立っていたりするんです。そんなことを山が教えてくれますね。

典型的な低山だけどワイルド。〆の酒が旨い山梨・鶴島御前山コース

教えてくれた人:久住昌之(漫画原作者)

散歩は好きだけど、山登りは嫌い。ただ、上野原・鶴島御前山は特別。かつて祖父母が暮らした町で、子供の頃から馴染みがあるんです。でも登れると知ったのは50代になってから。知人いわく、「典型的な低山」だと。見上げてきたあの山が“低い”とは……とちょっぴり残念ではあったけれど、ところによってはロープを伝う道もあって登り応えがあるんです。程よく疲れたら、帰る前に古くから駅前にある老舗〈一福食堂〉で一杯。

山も海も温泉も楽しめる、探検気分で歩く長崎・小浜コース

教えてくれた人:原川慎一郎(〈BEARD〉シェフ)

日々の運動不足を解消すべく、週2、3ペースで歩いている道です。まずは小高い丘のような場所にある、とけん山公園へ。向かう途中にある木の階段はなかなか急でいい運動になるし、緑の中を進んでいくから冒険風情もある。下って小浜(おばま)神社跡や大きなクスノキを経ればすぐに海沿いに出ます。朝は涼しくて気持ちがいいし、夕方には綺麗な夕日が眺められますよ。〆はこの町の名物でもある公衆浴場で汗を流しましょう。

photo/Yuto Ichiki
とけん山公園から海沿いへ下る坂道の途中にある大楠。樹齢300年を超えるともいわれるそのたくましい姿は圧巻だ。付近には小浜神社跡があり、現在は公園になっている。