ムーブメントを起こす瞬間を目の当たりにした1冊
編集者の仕事は、読者の反応をダイレクトに感じ取る機会があまりない。書店で立ち読みしている人に突然話しかけたら、ただの変態と思われるだけだし。台湾特集では、台南エリアのとある商店街の写真を表紙にした。
台湾でも話題になり、「古臭いのか、温故知新なのか」論争は台湾のアイデンティティを見直すキッカケとなり、お気に入りの台湾写真をブルータスの表紙風に加工できるジェネレーターまで登場した。雑誌がムーブメントを起こす瞬間を目の当たりにできたのは貴重な経験だったと思う。
スター犬・まると出会った1冊
当時は空前の猫ブーム。犬派の私にとっては少し悔しいぐらいな気持ちでした。心のなかでずっと思っていたコトバ、「犬だって。」が、愛くるしい表情の2匹の犬と共にBRUTUSのタイトルになったのを目にしたときに、「それそれ!」と思ったことは今でも忘れません。
犬は家族であり、大切なパートナーであることを改めて実感する1冊でした。この本がきっかけで出会った柴犬のスターまるとは、戌年のお正月、ある百貨店の1日店長を務めてもらうという貴重な機会で仕事としてもご一緒することができ、今でも大切な思い出です。今年、天国に旅だったまるちゃん、ご冥福をお祈りいたします。
ロンドンへ移住するときに持っていった、思い出の1冊
2015年にこの特集を買って、2016年にロンドンへ移住する際にはキャリーケースにぶち込んで持っていきました。知ってるロンドンも知らないロンドンもBRUTUSのこの号から情報を得てプラプラしたし、East Londonに訪れるきっかけになったし。
そしてやっぱり表紙のThe Shardはかっこいい!実際に訪れたときに、ステキに写真を撮れる場所を探してパシャパシャと写真を撮りまくったのもいい思い出。
「夜」の存在を思い出させてくれた1冊
私がBRUTUS.jp編集部に入る直前に発売された号です。当時はコロナがはじまってから2年以上が過ぎた頃で、リモートワークやマスク生活にも慣れてはいたものの、どこか満たされない気持ちで日々を過ごしていました。
そのタイミングで発売された「特集・夜」。表紙の力強さと、タイトルの潔さ。自分に足りていなかったのは、お酒を酌み交わしながら、なんてことのない会話を楽しむ友人たちとの時間、そこで生まれる熱気やアイデア――夜に渦巻くエネルギーなんだと、膝を打ちました。
暗く沈んでいた自分の心に、まるで夜の街のネオンのように明かりが灯った瞬間でした。
“ファッション・ロー”を考えるきっかけになった1ページ
大学4年生になる直前。最新号をパラパラとめくり目に留まったのは、ファッション業界に特化した法分野「ファッション・ロー」にまつわるページでした。
SNSでもよく話題に上がるファッションブランドのパクリ問題。でもオマージュやパロディなど、その線引きこそ難しい。見て見ぬふりをしていた、身近で大きな問題をもっと知りたいと思い、大学の卒業制作では、ファッション業界の社会問題ついてをテーマに映像を作りました。
雑誌の1ページが人生を変えることだってあるはず。カジュアルに、そして偶発的に新たな興味に出会えるBRUTUSは、私にとってこれからも大切な存在です。
1000冊の歴史を積んだバスがあなたの街にもやってくるかも
創刊1000号を迎えたBRUTUS。この記念すべき瞬間を読者のみなさんと一緒にお祝いするため、BRUTUSのアーカイブ1000冊すべてを載せた移動図書館「BRUTUS1000号」が運行中!
1980年の創刊号から1000号まで、バックナンバーを実際に手にとって、BRUTUSの歴史に触れられる特別な機会です。
SNSに #BRUTUSこの1号 のハッシュタグを付けて思い出のBRUTUSをポストしてくれた方には、会場で限定ステッカーもプレゼント中。
ぜひ「BRUTUS1000号」に、会いに来てください!