石若 駿が語る、角銅真実
僕が東京藝大附属高校の入学式へ出席した時、同日に大学の入学式も行われていて、角銅真実さんと出会いました。気さくに挨拶を交わしたのを覚えていますね。2人とも打楽器専攻。角銅さんは新しい響きを目指すような、近年の作品を多く演奏していました。僕が打楽器部屋でナーバスになっていると、気分転換に、美術学部側に連れていってくれて。ほんと優しいなぁと、思いました。
初共演は、大学卒業された後。パーカッション・カルテットへ誘っていただき、参加した時のことだと記憶しています。歌と擬音語などの声のみで構成された曲もあり、自由な発想で作られた演奏会でした。その後、BUN Imaiさんとのデュオ〈BUNKAKU〉のライブへ行きました。角銅さんがマリンバを弾きながら歌った曲に感動。
僕の作っていた曲でも歌ってほしいとお願いし、一緒に宅録をしました。声のパワーと歌詞から受けるイメージの広がりに圧倒されました。
それが僕のライフワークとなる『SONGBOOK』へ繋がって。以降もシリーズに深く関わっていただいたことから、角銅さんと西田修大(G)でSONGBOOK TRIOとして活動することにしたんです。その流れで、角銅さんの『Ya Chaika』(2017年)や『oar』へ、僕も参加しています。
角銅さんの音楽は、例えば、冷たいものを冷たいと知覚したりするような、日常の中で逃しがちで、鈍った感覚を思い出させ、再認識させるような力がある。頭の中で聞こえたフレーズや響きを、たくさんの楽器を用いながら直感的に録音していて、偶然性をポジティブに収めるセンスはすごいと思います。
近い将来、もし機会がありましたら、何にもとらわれずデュオ作品を作ってみたいです。どんな音楽になるでしょうか、とてもワクワクします。